aundouさんより (ツバサ・黒鋼 - 桜都国・洋館編)
桜都国・洋館編

 薄霧が霞む石畳の通りを、規則的に並んだガス灯が柔らかく照らす中、寄り添うように並んだ二つの人影が、滑る様に進んでいた。
 二つの人影は、夜の街中に響かぬ様、ヒソヒソと囁く様に話していた。
 「如何してまだ、こんな事を続けているんですか。」
 二つの影の内、小さい影の方が、憤慨やるせない様子で、怒鳴りたいのを押さえ込んで、大きな影に噛み付くと、
「だから今夜は、お前も連れて来てるんだろ。」
 もう何度も、同じ遣り取りを繰り返しているのか、大きな影が鬱陶しそうに返すと、
 「そう言う事を言っているんじゃ、ありませんっ。」
 思わず大声を上げそうになって、小さな影は声を飲み込む様に押さえ込んで、大きな影に再び噛み付いた。
 のらりくらりと返事を返される事も、今の状況も、何もかもが気に入らないのか、鼻息も荒く、睨み上げながら歩いていた。
 二つの人影は、埒も開かぬ言い合いを、小声で続きながら、高級アパルトメントの街中を通り抜け、広い庭を有する洋館街を進んでいた。
 昼間は閑静な所なのだろう、ガス灯も疎らになり、先程よりも足元が覚束無くなったが、高級住宅街に相応しく、洋館の窓から漏れる電気灯の明かりが、代わりに照らしているだけで無く、所々から、楽しげな夜宴の音が流れて来て、不安な気持ちには成らなかった。
 二つの人影が、言い合いを続けながらも、足を止める事無く進み続け、突き当たりに有る洋館の前に往きついた。
 その洋館は街の奥まった場所、と言うよりもむしろ、辛うじて洋館街の端に掛かっている、と言う場所に在り、夜本来の景色の内に佇んでいた。
 芝も庭木も綺麗に刈り込まれていたが、他の洋館と違い、外灯こそは灯っているが、窓には厚手のカーテンで、しっかりと閉ざされているのか、幽かな明かりさえ漏れてはいなかった。
 勝手知ったる他人の家とも言わんばかりに、大きな影は鉄扉を開けると、ズンズンと歩いていった。
 「おい、早く入れよ。」
 ふと、思い出した様に大きな影が振り向いて言うと、小さな影は暫く逡巡していたが、覚悟を決めたのか、大きな影に向かって駆けて行った。

 「おいっ、誰かいないのかっ。」
 小さな影が横に並ぶのを待ってから、大きな影はノッカーを使う事無く、分厚い扉を力強く叩いて、人を呼んだ。
 「はい、どちら様でしょうか。」
 分厚い扉の向こうから、小さいながらもハッキリと聴き取れる声が返って来た。
 「俺だ、今晩は連れも居る。早く入れてくれ。」
 頻繁に来ているのか、名乗る事無く言うと、相手もそれだけで悟ったのか、直ぐに扉を開け、招き入れた。

 「御待ちしておりました。おっきいワンコ様。宜しければ、其方の方の御名前を伺いたいのですが。」
 この洋館の使用人であろう男が、恭しく黒鋼に訪ねると、
 「こいつは小狼。いや、ちっちゃいワンコで呼んでくれ。」
 黒鋼が本名では無く、この世界の登録名を伝えると、
 「畏まりました。既に皆様が御待ちしております。此方にどうぞ。」
 使用人は心得ていますとばかりに、名前を言い直した事を気にせず、二人を案内した。
 「黒鋼さん、どうして言い直したんですか。第一、おっきいワンコと呼ばれるのを、嫌がっていたじゃないですか。」
 小狼が疑問に思い、黒鋼に問い掛けると、
 「ここでは、本名を名乗ら無いのが決まりだ。例え知っていても、知ら無い振りをするのが礼儀だ。覚えておけよ。後はまあ、追い追い教えてやる。」
 この洋館での決まり事の1つなのだろう、小狼に教えると、そのまま使用人の後を着いていった。

 廊下の途中、大広間の扉なのだろう、観音開きの大扉の前を眺めながら通り過ぎると、使用人が廊下の端に在る扉の前で足を止め、
 「此方で、お待ち下さい。」
 扉を開けて促すと、
 「ああ、分かっている。」
 任せておけと言わんばかりに応えると、顎を杓って小狼を促した。

 小狼が部屋に足を踏み入れると、中は思ったよりも広かったが、素っ気無く、人が生活している様子は伺えなかった。
 「何ですか、この部屋は。」
 小狼が黒鋼に尋ねると、
 「ああ、控え室だ。ほら、そこに有る覗き窓から、向こう側が覗ける。見てみろよ。」
 質問に答えながらも、黒鋼が小狼に覗く様に促すと、小狼も好奇心が疼いたのか、小さな覗き窓に近付き開けた。
 窓の向こうはダンスホールの様な造りで、また洋館の外からは、窺い知る事が出来無い、
眩いくらいの明かりに照らされており、ラッパ型の蓄音機から曲が流れ、招待客なのだろう者達が、ゆったりと椅子に腰掛けながら、寛ぎながら談笑していた。
 窓を開け放っていると言うのに、誰も小狼に気付かない様子から、覗き窓自体が判らない様に、隠されているのだろう。
 「おら、愚図愚図して無いで、お前もさっさと脱げよ。」
 かけられた声に振り向くと、既に黒鋼は真っ裸になって、腕を組み仁王立ちをしていた。
 「お前が怖じ気づかない様に、頭にまわして貰ったんだ。客を待たせるなよ。」
 早く脱ぐ様、小狼に促すと、
 「だったら、見世物にならないで、今直ぐ帰りましょう。第一、俺が居るのに、何で今更、他の男と犯る必要が有るんですかっ。」
 納得が行かないと小狼が、がなり立てると、
 「ここ迄来て、今更、吼えるなよ。裏道歩いて生きている様な連中が集まる、こういう所は、色んな情報が手に入るんだよ。鬼児狩りよりも稼ぎが確実で、いいしな。何より、こっちが楽しんだ上に、金に成るんだからな。」
 最後の方は小狼に聴き取れない様、ぼそっ、と言うと、
 「俺が言いたいのは、手段が他にも有るなら、こんなのを選ぶ必要は無いっ、て事です。」
 地団駄を踏んで、文句を言っていると、
 「先、行ってるぞ。」
 このまま小狼の相手をしていても時間の無駄と、黒鋼はダンスホールへ抜ける扉から、出て行ってしまった。
 「あっ、ちょっと、待って下さい。」
 服を着たまま、出て行くわけにも行かず、引き千切る勢いで脱いだ服を放り投げて、扉の向こうに跳び出すと、
 「皆様、御待たせ致しました。本日の出だしは、最近、巷で噂が持ち切り、名うての鬼児狩りと、突如現れた綺羅星、おっきいワンコとちっちゃいワンコです。今宵は、つがいの御狗様の交尾を御覧頂きます。心行く迄、御楽しみ下さい。」
 司会進行役なのだろう、先程の使用人とは違う者が、ショーの始まりを告げた。
 「ほら、こっちに来いよ。突っ立ったままじゃ、終わらないぜ。」
 黒鋼に手招きされて、歩き寄りながら周りを見渡すと、客席の椅子は小狼達を取り囲む様に、弧の字に並べられて、眺め易くなっており、また客席との境界代わりにか、それよりも内側に、背の低い小さいテーブルが並べられており、その上には、あからさまに使用目的が判る淫具や、何故ここに置いて置く必要が有るのか分らない、日用品や玩具の類が、飾りとして置かれていた。
 「客を満足させれば、それだけ早く帰れるぜ。どうするよ。」
 小狼をその気にさせる為に、耳元で囁き抱き締めると、黒鋼は観客に判る様、水音を立てて、舌を激しく絡める様を見せ付けると、小狼も遂に開き直ったのか、黒鋼に腕を回すと、両手で後ろ髪から太腿の半ば迄を、手馴れた様で弄りつつ、黒鋼の股座を太腿で擦り上げた。

 煌々とした電気灯の明かりの下、浮き出てきた汗でお互いの体が艶やいて来ると、小狼は黒鋼を床に横たえた。
 床には毛足が長く、柔らかな絨毯が敷き詰められており、それはまるで猫を撫でた様な手触りで、弾まない様に出来た、極上のベッドの様であった。
 然しながら小狼にとって、昼間の様な明るさの中、衆人観衆の目に晒されながら、二人きりで性交をするのは、かなり抵抗を感じた。
 土蔵の地下室での秘め事は、明るいとはいっても、明かりが取れれば良いと言う程度で、必要以上に明るくは無かったし、同じ淫らな行為でも、覗き隠れて見ていた小狼は完全な部外者だったし、黒鋼と犯る様になってからも、誰かに気付かれない様に、出来る限り明かりは、点けはいなかったのだ。
 だがこの状況は異常に思えた、本来ならば密かに行なうべき事を、こうも堂々と行なわせるだけで無く、第三者としての域を出ず、観客は決して手を出して来ないのだ。
 いや、手こそは出しては来ないが、それよりも雄弁な好奇心と欲情に満ちた視線で、二人の痴態を舐める様に視姦して、居心地を悪くしているのだ。
 視線に戸惑い、ぎこちない動きのままの小狼に焦れて、黒鋼が小狼を押し退けて起き上がると、テーブルの一つに近付き、何かを手に取ると、それを小狼に投げて寄越した。
 小狼が受け取ったものを見ると、それは本物の黒毛の犬の尻尾だった。それだけは無く、尻尾の付け根には、本物の男根が付いていた。形からして人間の物では無く、犬の男根、恐らくはこの尻尾の持ち主であった、犬の男根を完全に勃起した状態で、加工して有るのだ。
 「今夜の為に、わざわざ用意して貰ったんだぜ。使い方は、解るよな。」
 黒鋼が小狼から、尻尾付きの肉張り型を取り上げると、自分から咥えてしゃぶりだした。
 黒鋼は口から尻尾が生えている様に見える迄、喉の奥まで咥えながら四つん這いに成り、小狼に向かって尻を晒した。
 小狼もまた四つん這いに成って、黒鋼の尻に顔を埋めると、その中心に有る秘所に行き成り舌を挿し込んで、舐め解し始めた。
 小狼は舐め解しながら、黒鋼のこなれた仕草からも、使用人達の態度や、こんな倒錯的な道具迄も用意している事から、かなり前からこの洋館で、不特定多数の男達とまぐわって、見世物になっていたのだ。
 何よりも小狼を腹立たせるのは、黒鋼自身が、自分から進んで楽しんで来ている事に他なら無い。
 まだ見ぬ男達への嫉妬と敵愾心と、目的を理由に、手段を楽しんでいる黒鋼に対した怒りをぶつける様に、いつもよりも乱暴に解していた。
 小狼は黒鋼の尻から顔を上げると、黒鋼の口から肉張り型を奪い取ると、行き成り尻孔に、根元まで突き入れた。
 「ぐうぅっっ。」
 黒鋼の口の内でたっぷりと唾液に塗れて、その表皮がふやけて、多少柔らかくなっていたとしても、お座成りに入口の辺りを、舌だけで解されているだけでなく、肉張り型自体が大型犬の物で大きい他に、その中にはしっかりと芯が入っていた為に、肉壁に引き攣れる様な痛みが走り、思わず呻いてしまった。
 だが小狼は、痛い目を見るのは黒鋼が悪い為だ、と言わんばかりに肉厚な尻を、大きな音を立てて引っ叩くと、肉張り型を引き、今度は捻り込みながら突っ込んだ。
 「この野朗ぅ。」
 こめかみを曳きつかせながら黒鋼が後ろを振り返ると、突然小狼に飛び掛り、押し倒した。
 咄嗟の事で小狼も対応出来ずに押し倒されると、流石に黒鋼さんも怒ったかな、と軽く反省したが、実際には、
 「わんっ、わんっ。」
 と、ふざけて犬の鳴き真似をしながら黒鋼は、正に犬の如く、じゃれる様に小狼の顔を、ベロベロと音を立てて舐め回した。
 何だ、黒鋼さん怒っていないのか。と小狼が安堵した途端、
 「そういやお前、尻はまだだったな。」
 黒鋼がそう言うと、小狼の目の前に、明るい茶色の仔犬の肉張り型を翳した。
 「黒鋼さんっ、本気ですか。」
 小狼が動揺して言うと、
 「当たり前だろ、今夜はワンコ同士のさかり合い、てっ触れ込みなんだ。獣姦じゃないんだぜ。ほら、尻向けな。」
 黒鋼はいまだ動揺している小狼を、無理矢理四つん這いにすると、尻に顔を埋めて小狼の秘所を解し始めた。
 小狼は始めこそは戸惑いながらも、黒鋼が与える自分さえ見た事の無い秘所から感じる、温かく濡れた軟体動物の様な感触と、それが秘所を自由に出入りしながら這い回る、未知の快感に酔い痴れていた。
 それは黒鋼が小狼の肉茎を咥え込んだり、その肉茎で黒鋼を貪る様な、雄としての本能に基づく直接的な物とは違い、生温い底無し沼に沈んで行く様な、2度と這い出る事が出来無い、禁断の快感に思えた。
 小狼が尻孔の快感に酔い痴れていると、黒鋼が尻の向こうから顔を覗かせながら、ふやかして柔らかくしておけと、小狼に咥えろと仔犬の肉張り型を差し出した。
 尻孔の快感に力が抜けて、崩れ落ちそうになりながらも、肉張り型を受け取ると小狼は、それがこの、底無しの快感から抜け出る事が出来る、唯一の命綱で有るかの様に、必死になってしゃぶりだした。
 黒鋼なりの小狼への気遣いなのか、男根は尻尾と比較して小振りな物が付けられており、
小狼への負担が少ない様、配慮が窺い知る事が出来た。
 また客席から見た、黒鋼が小狼の尻に顔を埋めている様は、さも美味そうに、瑞々しい水蜜桃にしゃぶり付き、蜜を啜りながら齧っている、黒毛の獣人の様に見えて、観客達を微笑ましく思わせた。
 「そろそろ、頃合か。」
 黒鋼が小狼から肉張り型を取り上げると、膨らんだ風船を割らぬ様、細心の注意を払いながら針を突き刺す奇術師の様に、神妙な顔付きで小狼の内に沈めていった。
 「あ―ーーーー。」
 尻孔が小さな抵抗をしながらも、肉張り型が進んでいけば、小狼は溜め息をつく様に、低く幽かな声を上げ、肉張り型が沈む込む程に、背を大きく仰け反らせて行き、全てが埋まり切った時には、遠くを見詰める様な目をして、頭から水を被った様に、全身を汗でグッショリと濡らして、狼が月に向かって吠える様な姿をとっていた。
 黒鋼は仰け反り切った小狼を、膝立ちのまま後ろから抱き留めて、浅く息を繰り返している小狼の息が整う迄、自分に寄り掛からせていた。
 後ろから見たその姿は、正に尻尾を生やした、おっきなワンコとちっちゃなワンコそのものであった。
 息が整うと、小狼は振り向き様に黒鋼に口付け、口を離す事無く体を回して向き合い、今度は黒鋼の体を回して四つん這いにすると、黒鋼に嵌められたままの肉張り型を掴み、抜き差しを始めた。
 グチョグチョと音を立てて捏ね繰り、尻孔が捲れてネットリした肉壁が見える様になると、肉張り型を抜き取るのでは無く、更に奥に突き入れて上に持ち上げると、肉壁と肉張り型との間に出来た、僅かな隙間に向かって小狼は肉茎を突き入れた。
 「ぐううっ。」
 「くううっ。」
 黒鋼は、只でさえ大きな肉張り型が埋まっている尻孔に、無理矢理肉茎を突き入れられた事で呻き、小狼は、肉張り型が埋まっている事で、いつもよりも圧迫された、きつい締め付けに声を上げた。
 「ほう、正しく狗同士のさかり合いですな。」
 客席から聞こえて来た声の通り、お互い尻尾付の肉張り型を入れたまま、獣の体勢で繋がっている様子は、ちっちゃいワンコがおっきいワンコに被さって、交尾している姿そのものだった。
 客席の声に気を取られること無く、小狼が腰を使い出すと、黒鋼はいつもとは違う尻孔を引き伸ばされ、空気が出入りする感じと、肉壁の内を互い違いに動く、2つの肉棒の動きで喘ぎ声を立て、小狼は圧迫されて普段よりも密着してくる、ネットリとした肉壁と、幾ら尻孔に力を入れても、尻尾自体の自重で振り子の様に動いて、自分の尻孔の内を捏ね繰り回す、今迄に感じた事の無い快感の為、異常な程の昂ぶりに体を燃え上がらせていた。
 そしてその肉張り型の刺激の為、小狼自身が思わぬ腰の動きをして、結果的に黒鋼をいつもとは違う腰使いで翻弄した。
またその様子は肉張り型の尻尾を、本当に生えている尻尾の様にブンブンと振り回し、息も荒くダランと舌を出している、喜び勇んでいる仔犬であった。
今迄に無い快感と、多数の人間に自分達の性交を晒している事で、2人はいつもより早く絶頂に向かって駆け上がり、体を強張らせて同時に達した。

 小狼は黒鋼から肉茎を引き抜くと、余裕が出来たのか、それとも自分達の痴態を見せ付けるのが楽しくなったのか、この短時間で魅せ方≠覚えたのか、並んだテーブルの上を眺め回し、その上にあったネッカチーフを取り上げ、黒鋼に目隠しをして、空いている椅子にドサリと腰掛けた。
 視覚を閉ざされた黒鋼が何をするのかと、いぶかしんでいると、パンパンと小狼が自分の太腿を叩いている音が聞こえて来た。
 一言も発せず、小狼が再び自分の太腿を叩いて鳴らすと、黒鋼は小狼の思惑が解かり、フンフンと鼻を鳴らして嗅ぎ、小狼の汗と精の匂いを頼りに、犬の様に四つん這いのまま、小狼の居場所を捜し始めた。
 黒鋼が匂いだけで小狼を探し始めると、太腿を叩くのを止めて大きく股を開き、匂いを振り撒いて黒鋼が捜し易くする為か、ビクンビクンと精と我慢汁で濡れた肉茎を大きく振るわせていた。
 黒鋼が匂いだけで小狼に辿り着くと、犬を演じたまま両手を小狼の太腿に乗せて、犬らしくベロンベロンと肉茎から肉袋にかけて舐め回した。
 小狼は暫く舌使いだけの口淫を楽しむと、いつの間に用意したのか、手にしていた縄を黒鋼の首に掛け、そのまま犬を散歩させる様に牽き立てると、全ての客席から見える場所に導いた。
 黒鋼の尻を客席に向けさせると、テーブルに近付きその上にあった、錦色に彩られたビー玉が入ったガラスボウルと、シャンパンのボトルを手にして戻って来た。
 そして黒鋼から肉張り型を引き抜くと、観客達に見せ付ける様に、一つ一つビー玉を取り出して、ボウルの中が空になる迄続けた。
 今度はシャンパンのボトルを手にすると、コルク栓を抜き取り、親指で注ぎ口を塞ぐと激しく振りだした。
 指で塞いだままボトルの注ぎ口を尻孔に付けると、指を離して間髪入れず、尻孔に押し込んだ。
 激しく振っていた分、シャンパンは勢い良く噴き出して、黒鋼の腹の内をかき回したが、小狼は黒鋼の尻孔がシャンパンを全て飲み干すまで、ボトルを抜き取る事はしなかった。
 ボトルを尻孔から抜き取ると、直ぐに肉張り型を押し込み、粗相をしない様に栓をしてしまった。
 今、黒鋼は耐え難い排泄感に苦しんでいた。ボウル一杯分のビー玉を入れられているだけで無く、ボトル一本分のシャンパンを浣腸液代わりに注がれており、シャンパンが腹の内で無数の細かな気泡を立てては、パチンパチンと弾けて肉壁を刺激して、内側から痺れる様な快感を与える為、いつもより肉壁が敏感になり、異物を排出しようと蠕動運動を激しく促すのだ。
しかも、肉張り型で栓をされている為に排出する事が出来ない他に、小狼はそれをグリグリと捻り回し、内に有るビー玉ごと肉壁を刺激しているのだ。また、直腸から急速に直接吸収されるアルコールの為に、黒鋼の頭の中を霞ませるのだ。
「頼む、もう我慢出来ない。出させてくれっ。」
黒鋼が泣きを入れて、小狼に頼むと、
「いいですよ。一寸待っていて下さい。」
そう言って黒鋼から離れると、客席の方でガタガタと、何かをしている様な音を立てて、
「さあ、こっちですよ。」
黒鋼の首の縄を掴むと、再び犬を引き連れる様に四つん這いのまま、テーブルまで誘導した。
「じゃあ、この上に乗って下さい。」
片付けられたテーブルの上に、黒鋼の手を乗せて促した。
「おい、何をするつもりだ。」
黒鋼が尋ねると、
「勿論、ビー玉を取り出す為ですよ。ああ、客席には背を向けて下さいね。」
このままでも仕方が無く、黒鋼は手探りながらテーブルの上に乗ると、
「腹のビー玉を、ひり出したいんでしょう。犬のやり方の格好ですよ。」
小狼が観客に聞こえる様に、黒鋼を辱める言葉で、犬の排便の格好を促すと、背中に刺さる無数の視線に、ゾクリと膚を粟立てながら、黒鋼はその格好をとった。
テーブルの上に乗っている事で、黒鋼の尻孔は観客達の目線と同じ高さに近付き、排泄する様子を晒そうとしていた。
コトリ、と何かをテーブルの上に置く音が聞こえたら、
「このボウルの中に出して下さい。でも、一つずつですよ。もし出来なかったら、後でお仕置きですよ。」
黒鋼の耳元で小狼が、ゾクリとさせる声で囁くと、肉張り型をゆっくりと引き抜き始めたので、黒鋼は急いで尻孔を締め付け、これからの見世物の用意をした。

黒鋼の尻孔からビー玉の頭が見えると、プッとビー玉を吹き出して、カチリと音を立ててガラスボウルの中に出した。
だが気を抜くと腹の中に有る物を、全て出してしまいそうになるので、力み続けていなければならず、酔いも回り切っている事もあり、力加減が出来ないでいた。
あれから大分時間を掛けて、ビー玉の半分程の数をボウルの中に出すと、
「あと半分程ですから頑張って下さい。」
犬の排便の格好をとっている黒鋼を、抱き締めながら言うと、舌を絡めながら口付け、腰と腹を優しく撫でて、黒鋼を安心させた途端に、思いっ切り腹を潰さんばかりに押した。
逃げられない様に、腰に回した手でも押さえ付けているので、結局残りのビー玉ばかりか、シャンパンまでも破裂した水道管の水の様に噴き出して、ボウルの中に出し切ってしまった。
「あれ程言ったのに、こんな粗相をして。やっぱりお仕置ですね。さあ、テーブルから降りて下さい。懲らしめて上げますよ。」
黒鋼としては当然、小狼に文句を言いたいのだが、強烈な排泄感に堪えたまま、無理な体勢を続けていた事もあり、早く床に降りたかったが、何よりもお仕置きと言う言葉に心が惹かれて、素直に小狼に従った。

黒鋼を再び客席に向かって尻を向けさせると、小狼は先程のガラスボウルの中、人肌よりも熱くなっている、シャンパンに沈んでいるビー玉を、軽く一掴み程取り出すと、黒鋼の尻孔に埋め始めた。
一掴み程度のビー玉では、黒鋼には物足り無く思えたが、小狼は直ぐに肉張り型を埋めるとそのまま持ち上げて、出来た隙間に自分の肉茎を突き入れると、激しく腰を使い始めた。
黒鋼の尻孔の中には再び二本の肉棒が納まったが、今度はビー玉が入っている為、小狼が腰を使う度に、ゴロンゴロンと肉壁の中で転がって、新しい肉の悦びを教えた。
だが、小狼は暫くその感触を楽しんでいたが、あっさりと肉茎と肉張り型を抜き取ると、ビー玉だけを黒鋼の中に残したまま、人差し指だけを尻孔に入れて焦らした。
あまりに物足りない刺激に、黒鋼が尻を振り出すと、ようやく指を二本に増やした。
その後は、一本また一本と指を増やしてゆき、遂には黒鋼の中に五本の指全てを埋めた。だが小狼はこれだけでは終わらせずに、そのまま手首まで埋めて、五本の指をバラバラ動かして、肉壁を擦った。
手首までズッポリと埋まった事で小狼は、黒鋼に対して持った疑惑が確信に変わった。
幾ら解したとは言え、自分の肉茎と太い肉張り型を入れても、小さな裂傷一つ出来ないのだ。という事は、黒鋼がこれ以上の色事を愉しんでいた、と言う事実は疑い様が無い。
小狼は黒鋼の体を愉しんだ、見た事の無い男達に対しての対抗心と嫉妬で、口から火を吐くほどに燃え上がっていた。
「俺が解すまでも無く、随分と柔らかくなりますねぇ。どれだけ鍛えればこんなに成るんですか。」
小狼の怒りを含ませた声に、黒鋼はギクリとした。目隠しされて小狼の顔は見えないが、恐らくかなり顔を引き攣らせている、と言う感じを受けた。
こおりゃ相当、おかんむりだな。覚悟しとくか。
そう思ったのと同時に、小狼は指を動かし続けながらも、腕を回しながら少しずつ進めて行き、腕の半分迄を埋めると、最初はゆっくりと、だが次第に速く腕を抜き差ししだした。
腕が激しく出入りする度に、中のビー玉も激しく転がり、黒鋼を悶えさせた。それは肉棒を二本入れた時よりも強烈なものだった。何しろ肉壁を皴一つ無い迄に引き伸ばされた中で、ビー玉が思いっきり押し付けられて、転がされているのだから当然だろう。
黒鋼は体を支えていられなくなり、上半身を絨毯の上に崩し、尻だけを高く上げて、小狼の腕に翻弄されていた。
黒鋼が絨毯に突っ伏したのを見届けた小狼は、手首までを尻孔ギリギリにまで引き抜くと、止めとばかりに一気に肘まで腕を突き入れた。
「うをぉぉぉぉぉぉっ。」
口から腕が突き抜ける様な錯覚と、限界を超えた快感の衝撃で、全身を細かく痙攣させて、黒鋼は獣の咆哮を上げて精を放ったが、あまりの事に全ての精を出し終わる前に、そのまま失禁して上等な絨毯を汚してしまった。
小狼が黒鋼の顔を覗き込むと、荒い息を吐きながら、だらしなく開けた口から流れ出た唾液で、小水と同じ様に絨毯を小さく汚していた。
小狼が黒鋼を目隠ししていたネッカチーフを外すと、黒鋼は激しい性交とアルコールで目の回りを火照らせ、潤んだ瞳で小狼を見止めると、
「お前やっぱ、最高っ。」
自分から小狼に口付け、小狼の男としての矜持を満たしたのだった。

二つの人影は、夜の街に響かぬ様、ヒソヒソと囁く様に話していた。
「もう二度と、あの洋館には行かないで下さいっ。」
小狼は憤慨やるせない様子で、怒鳴りたいのを押さえ込んで、黒鋼に噛み付くと、
「だから、もう行かねぇ。って言ってんだろっ。」
もう何度も、同じ遣り取りを繰り返しているのか、黒鋼が鬱陶しそうに返すと、
「そう言う事を言っているんじゃ、ありませんっ。」
 思わず大声を上げそうになって、小狼は声を飲み込む様に押さえ込んで、黒鋼に再び噛み付いた。
 のらりくらりと返事を返される事も、先程の饗宴も、何もかもが気に入らないのか、鼻息も荒く、睨み上げながら歩いていた。
 二人は、埒も開かぬ言い合いを、小声で続きながら、高級アパルトメントの街中を通り抜け、下町風情の町中を歩いていた。
 最後のフィストファックプレイで観客を十分満足させたのと、次に控えている見世物の為に、二人が痴態を人目に晒すのは、アレで終わったし、黒鋼が小狼を男として立てた事で、その場は治まったのだが、小狼としてはやっぱり納得出来無い上に、
 「如何してそんな物を貰って来たんですか。」
 黒鋼の着物の袂には先程、御狗様に使用した、尻尾付きの肉張り型が二本納まっているのだ。
 「今夜の為に用意して貰ったと言っただろ。一回ぽっきりじゃ勿体無ぇだろ。」
 「うううっ。」
 小狼としても、あの色事遊びが気に入り始めているので、ハッキリと反対出来ずにいるのだ。
 「終わった途端、お前に連れ出されて汗も流していないだぜ。気持ち悪ぃたらありゃしない。せめてあそこで汗ぐらい流させてくれよ。」
 「一刻でも早くあそこから出たかったんです。」
 洋館での事がよほど気に入らないのか、頭から湯気を立てる勢いで、黒鋼の先をズンズンと歩いていった。
「そういやぁ、この辺りに銭湯が在ったな。ひとっ風呂浴びて行くか。」
 「銭湯は絶対に駄目ですっ。銭湯でしでかした事を忘れたんですかっ。」
 黒鋼の言葉に小狼はつい最近あった、銭湯での嫌な出来事を思い出した。

 「一寸、汗臭ぇな。どこかでひとっ風呂浴びて行くか。」
 「そうですね、何処かに銭湯でもないですかね。」
 夜の街中を、黒鋼と小狼が他愛も無い話をしながら歩いていた。
 今夜の鬼児は弱かったがその分、やたらと数は多いは、直ぐ逃げ回るは、逃げ足は速いは、広範囲に頻繁に出現するはで、鬼児狩りとしての腕よりも、体力勝負の様な戦闘だったので、手間取るだけで無く、足を遠くまで延ばす事になったのだ。
 それ故、必然的に戦闘時間が長くなり、興奮状態が冷めやらぬままに二人とも欲情していまい、明かりが届かぬ建屋の影、抜け道の様な狭い裏道にしけこんで、青姦をしてしまったのだ。
 鬼児は鬼児狩りしか襲わないので、夜も更けたとは言え花街に近いせいか、一般人がそれなりに表通りを歩いているのだ。表通りからは暗くて見え無いとは言え、物音を立てれは誰かが覗き込まないとも限らない、そんな緊張感でいつに無い燃え方をして、戦闘よりも汗を掻いてしまったのだ。
 「あっ、黒鋼さん。あそこに銭湯がありますよ。寄って行きますか。」
 「おっ、じゃあ、ひとっ風呂浴びていくか。」
 その銭湯は下町の風情その物と言った造りをして、暗く静まり返った町角を、出入り口から溢れる明かりで、そこだけ柔らかく浮かび上がらせていた。

 「っらっしゃいっ。」
 暖簾を潜って二人が入ると、番台の上から番頭が声を掛けた。
脱衣所の先に有る、湯気で曇ったガラス窓越しに、チラチラと動く人影が見て取れた。
 自分達と同じ様に夜中まで働いている者達だろう。下町の銭湯とは言え、それなりに繁盛している様だ。
 番台に代金を支払い、脱衣所で手早く服を脱ぎ捨てると、二人はさっさと湯殿へと足を進めた。
 ガラリと音を立てて、黒鋼がガラス戸を引き開けると、その音に反応して、湯殿に居る男達は黒鋼達に目を向けた。
 「夜中とは言え、結構居るじゃねぇか。」
 黒鋼が湯殿の中を見渡すと、湯船に浸かっている者、体を洗っている者等、十人程度の男達が居た。
 湯殿の中は、床も湯船もタイル張りで清潔感を感じさせ、洗い場は一人ずつ洗える様になっていた。そして一番目に付いたのは、奥の壁一面に描かれていた、この国の名景画だった。
 「おし、さっさと汗を流すとするか。」
 黒鋼は手拭いを肩に引っ掛け、前を隠す事無く、堂々と胸を反らして湯船に向かった。
 そんな黒鋼の態度に、小狼名は気が気では無かった。何故ならそんな黒鋼の男っぷりの好さと、成熟した男の体の魅力で、湯殿に居る男達の羨望と好色にのぼせた視線を、一身に集めているからだ。
 「体が冷えるぞ。そんな所に突っ立って居ないで、とっととしろよ。」
 声を掛けた黒鋼は、とっくに掛け湯を済ませて、湯船の中に肩まで沈んでいた。
 「あっ、はい。直ぐに入ります。」
 小狼は慌てて、湯桶を使って頭から湯を浴びると、そのままの勢いで湯船の中に飛び込んだ。
 この辺りは温泉でも出るのか、湯船の中は沸かし湯では無く、濁り湯で湯船の中は白濁していた。
 「おいっ、躾がなってないぞ。何考えてやがる。」
 行き成り黒鋼達に向かって、叱責する声が飛んで来た。
 見ると少し離れた湯船の向こうに、首まで浸かった四人の男達が居り、その内の一人が怒鳴り付けた様だった。
 四人の内、三人は黒鋼より二、三歳は年下で、残る一人は黒鋼より少し年かさに思えた。
 「掛かりましたか。済みません。」
 素直に小狼が謝ると、
 「済みませんじゃねぇよ。乳臭ぇガキじゃねぇんだ。こんな所で飛び込めばどうなるか、分からない訳じゃねぇだろうが、人様の迷惑を考えねぇのか。」
 はなから許すつもりが無いのか、喧嘩越しに怒鳴り返してきた。
 「ったく。人が気持ち良く湯船に浸かって、一日の疲れを洗い流してたって言うのに、この落とし前は如何つけるつもりだ。ああっ。」
 「でも、湯船に浸かっているから、飛沫が飛んでも、それ程問題にする事は無いんじゃ。」
 小狼がそう言うと、
 「反省の色がちっとも見えなぇな。おいっ、男前なそこの兄さん、あんたの弟だろ。
一体どんな躾をしているんだい。こいつは落とし前を取らないってんだ。だったら弟の不始末は、兄貴のあんたが当然取ってくれるんだよな。」
 男は矛先を黒鋼に変えて絡んだ。
 「五月蝿ぇチンピラだな。安いイチャモンを付けんじゃねぇよ。程度が知れるぜ。」
 「何だと、この野朗っ。」
 「喧嘩を売るって言うなら買ってやるぜ。ここじゃ迷惑だ。表に出な。」
 売り言葉に買い言葉、いや黒鋼は喧嘩が出来る事が楽しいのか、わざと相手を煽って、逆に自分が喧嘩を吹っかけた。
 黒鋼はザバリと波を立てて、勢い良く立ち上がると、湯船から少し離れた場所で仁王立ちになり、
 「つまんねぇ喧嘩吹っ掛けといて、今更、怖気付いたのか。」
 いまだに湯船に浸かっている男達に向かって、小馬鹿に言うと、
 「何だとっ。」
 「なめんじゃねぇ。」
 「調子に乗るんじゃねぇ。」
 黒鋼の言い草に、男達が威切り立とうとすると、
 「止めねぇか。手前ぇらから喧嘩を売って置いて、恥ずかしい真似を晒すんじゃねぇ。」
 恐らくこの男達の兄貴分なのだろう、黒鋼より少し年かさな男が、その場を治める様に、うっそりと言い、
 「騒がせちまって、悪ぃな兄さん。」
 黒鋼に対して謝罪をし、ザバリと立ち上がると湯の外に出て、湯船の縁にドサリと腰掛けると、後の三人も続いて立ち上がると、湯船の外に出て、兄貴分の周りに立ち並ぶと、小狼を驚嘆させた。
 何故なら、男達が湯船に首まで浸かっていた事と、白濁した湯の為に分からなかったが、男達は四人とも刺青を背負っていただけで無く、男根には全員真珠を入れていたのだ。
 四人の男達は間違い無く、やくざな家業の人間に他なら無い。
 男達を見定めた黒鋼は、目をキラリと光らせた。
 男達は体を極彩色の刺青で覆われ、真珠を入れていたが、弟分の三人がせいぜい刺青を腕や太腿の半ばまで入れ、男根に入れている真珠も、チラリと見て数えられる程度に対して、兄貴分の男は明らかに格が違っていた。
 その体を覆う刺青が、緻密にして豪胆な絵柄、極彩色に彩るのは元より、正に全身を刺青で覆っているのだ。
刺青を入れて無いのは首から上のみで、それより下は、手の甲から足の甲までに入れて有るどころか、重く垂れ下がった肉袋に亀頭の先までにも入れてあった。
 三人の弟分の男根は、真珠を入れて無くても男として、十分自慢出来る一物だが、兄貴分の男根は、体に入れた刺青以上に、弟分達よりも格が違っていた。
 ふてぶてしく垂れ下がっている一物は、萎えてさえも、そこらの男どもが完勃ちさせた一物より、一回りも二回りも大きく、入れてある真珠も弟分達よりも、一回りも二回りも大きく、男根の根元から亀頭の先まで、余す事無くグルリと取り囲んであり、例えて言うならば、股座から極彩色の苦瓜がぶら下がっていると、言い切れた。
 「だがな兄さん、こちらにも面子ってものがあるんだ。紋々背負った俺達が、素人さんに虚仮にされたまま、帰す訳にはいかねぇんだ。」
 兄貴分が湯船の縁に腰掛けたまま、黒鋼の顔を下から掬い上げる様に、見上げて言うと、
 「ほぉ、やろうってのか。」
 黒鋼が目を細めて返すと、
 「この桜都国では人間同士の争いは御法度、それにやるってんなら、他のやり方もある。
そうだろぅ。」
 兄貴分が含みを持たせて、ニヤリと片頬上げて言うと、
 「で、他のやり方ってのは何だ。」
 黒鋼もニヤリと片頬上げて返すと、
 「俺達ゃ、この辺りの花街を仕切っている者でね。」
 「なるほどねぇ。」
 生きている世界こそ違うが、二人の男はそれなりの場数や、修羅場を踏んで来たのだ。瞬時に相手の腹を読み、互いの考えが同じと悟ると、二人は思いを一つにした。即ち、
 黒鋼 「喰える。」
 兄貴分「犯れる。」
 と。
 「ちっ、しょうがねぇな。だが、こいつには手を出すんじゃねぇ。その代わり、こいつの分も受けてやる。俺を煮るなり焼くなり好きにしな。」
 「ガキに手を出したとなりゃ、こちらも名折れだ。手を出さない事は約束する。だが、ガキの分も引き受けると言ったが、花街なりのヤキの入れ方はハンパじゃねぇ。それでも構わねぇか。」
 「男に二言はねぇ。こいつの分も引き受けてやるぜ、たっぷりとな。」
 最早、分かっている結末を、台本通りに進めている茶番劇である。

 兄貴分は、(包)皮が剥けて初めて女を抱いてから、一物が乾く暇が無いほどに、女を切らした事が無いコマシで、常に女の二・三人は囲っているのだ。だからこそ男を犯るなど、向こうがどんなに頭を下げたとしても、こちらから御免被ると思っていたのに、ガラス戸を開けて入って来た、黒鋼の美味そうに熟れた体を一目見るなり、それまで女一筋で生きてきた、自分の価値観を根底から覆すほどの衝撃を受けたのだ。
 それを認めると、黒鋼の体をどうやっても味わいたくて仕方がないのだが、女を墜すとあれば朝飯前だが、黒鋼は何処から如何見ても男で、男の墜し方自体これっぽちも考えた事が無いのだ。
 ましてや、自分から男を口説こうと言うのだ、女ならば口説くまでも無く、向こうから幾らでも擦り寄って来るのだが、さて如何したものかと思案していれば、都合良く弟分が黒鋼の連れにコナを掛けたのだ、これを理由に黒鋼に体で償わせればいいと、渡りに船とばかりに、今まで静観して頃合いを窺っていたのだ。

 黒鋼は最初、純粋に喧嘩が楽しめると思っていたのだが、湯船から上がった四人の男達を見て考えを変えた。
 紋々背負ったやくざを相手にした事は無かったからだ。四人の内、三人はチンピラよりは格が上と言う程度で、自分より年下に見えたが、やさぐれた世界で生きているだけあり、しっかりと漢の体に出来上がっていたし、何よりも股座からぶら下がっている物がいい、四人とも御立派と呼んでも足りない程の代物で、三人の弟分の一物を特盛りと言うなら、兄貴分は特大盛りと言ったところである。
 しかも真珠入りと来た。これまで様々な男根や張り型を喰って来たが、真珠入りの男根を模した物や、色々な加工を施された張り型こそ有れ、生の肉棒に真珠を入れた者は居なかったのだ。
 特に兄貴分の男根は、滅多な事では動じない、黒鋼さえ驚かせた一物だった。
 男根全面に入れられた刺青の鮮やかさは勿論、同じように入れられた真珠の数と大きさにも、心を動かされた。あれを入れたらと考えるだけで、ゾクリと妖しい悪寒が走るのだ。
 もう一度男達の股座を見定めると、兄貴分は刺青で分かり辛いが、弟分達を見る限りでは、男根が色濃く黒ずんでいる事から、よほど犯りまくらなければ、ここまで淫水焼けはせず、亀頭と包皮との皮の厚み具合に質感から、一物を使っている年季が、かなり有ると窺える。
 肉袋に納まっている金玉を見れば、一番小さい物でも鶏卵大もあり、兄貴分に至っては檸檬程にもあった。
 察するところ連中は、花街のやくざに違い無い。それも遊女になる前の女を、客に出しても恥ずかしく無い様に、その股座にぶら下がった一物だけで、女を根っからの男好きに作り変えてしまう、竿師と言う職人だろう。
 竿師ならば、色事に激しく嫌悪するおぼこでさえも、色狂いに変えちまう程の手管や技を持っている。
 しかも竿師と言えども、今まで一度も男を相手にした事の無い、女専門の竿師と見た。
 それならば、色事の達人である玄人衆でありながら、男童貞の初物喰いが出来るじゃないか。同じ初物喰いでも、小狼とはまた違った愉しみ方が出来る。
 小狼に邪魔をされる事無く、連中の男童貞の初物喰いをする為には、どの様に小狼を納得させるかと思案していれば、都合良く兄貴分が遠回しに、犯らせろと言って来たのだ。
 はて、この兄貴分は女専門の竿師で、男童貞と思ったのだが勘が外れたのか、それとも本当に唯ヤキを入れる為だけに言ったのか。まあ、どちらにせよ、生の真珠入り肉棒が喰えるのだ。黒鋼は心の内で、ペロリと舌擦りをした。
 しかも、人間同士の争いは御法度と言う、この国の法を持ち出したのだ。これならばこの場を治める為、連中に犯らせると言う理屈を使ったとしても、小狼とて納得せざるを得ないだろう。渡りに船とばかりに、兄貴分の言葉尻に乗った。

 「だが、ヤキを入れるにしても、肝心の道具が使い物にならなきゃ始まらねぇ。当然、兄さんが何とかすんだろう。」
 湯船の縁に腰掛けたまま、湯殿に居る他の男達にも、自慢の一物が見える様に股座を大きく開き、腕組みをして黒鋼に勃たせる様に促すと、
 「物はご立派なのに、もう枯れているのか。一々人に何とかして貰わなきゃ、ご自慢の道具さえ使い物になら無いとは、だが、こっちは落とし前をつける方だ、謹んでやらせて頂くぜ。」
 二人とも本音を目だけで交わすと、この茶番劇の本編に進む為に、幕開けの口上代わりの三文芝居をした。
 黒鋼が兄貴分の股座の間に座り込み、魔羅に向かって手を伸ばそうとしたその時、
 「あのっ、何もこんな事をしなくても、他に方法は幾らでも有るでしょう。」
 黒鋼を制止する声が投げ掛けられた。見ると童顔の所為で若くは見えるが、歳は成人を過ぎたばかりだろうか、中肉中背の青年が立っていた。体はそれなりに逞しく引き締まって、息子は半剥けで人並み程度ってところだな。そう黒鋼は見定めた。
見るとは無しに湯殿の中を見渡すと、五・六人の男達が事の成り行きを窺っていた。
黒鋼ややくざ連中の様に、逞しく鍛え上げられた体では無いにしろ、黒鋼を制止した青年の様に、体はそれなりにガッシリと逞しく引き締まっている。歳の頃も二十代から三十代半ばがいいところだ、こんな夜更けまで働いている職業は限られている、所々に土汚れや油汚れが付いており、年齢・体格から察するに、人力車の車引きか機会工員あたりだろう、
「あなた方も落ち着いて話し合って下さい。」
制止した青年の顔を見れは、素直・純情・正直と三拍子揃っているのが見て取れ、おまけに不器用と来た。恐らく田舎から出て来たばかりなのだろう、この手の状況の流し方を知らない様だ。
「そうですよ。黒鋼さんがこんな事をする必要は全くありません。」
しかも、味方が出来て好機とばかりに、小狼までもやめさせる為に突っ掛かって来た。
単に犯りたいだけでしょう。黒鋼の本心をとっくに見破っている小狼は、言葉だけで無く、火が点きそうな視線で黒鋼を睨み付けた。
余計な事をしやがって、このままじゃ折角ここまで旨く運んだ事が、おじゃんになっちまう。この邪魔者を如何し様か。
黒鋼と兄貴分が同じ事を考えていると、
「素人が口を挟むんじゃねぇ。黙って見てろっ。」
「この兄さんはお前の分の落とし前を付けるってんだ。横槍を入れるんじゃねぇよ。」
弟分達が、小狼と制止した青年を羽交い絞めにして怒鳴り付けた。
再び事の流れを元に戻す好機と、黒鋼と兄貴分はこの瞬間を利用した。
「邪魔しないで貰おうか、兄さん。堅気には手を出さない、ってのがやくざの掟だ。だがな、そちから首を突っ込むとなれば話は別だ。それを承知の上で言ってんだな。」
兄貴分が凄んで見せると、
「俺を気遣って止めてくれたのは嬉しいが、その為にあんたの身に何かあったとなれば、返ってこっちの寝覚めが悪くなっちまう。俺の顔を立てて、ここは引いては貰えないか。小狼、お前もだ。」
二人の言葉で、このヤキ入れの行為を正当化させかつ、外野の邪魔が出来ないと言う、雰囲気に変えた。
「俺はここで引いてもいいが、血の気の多い弟分達は治まらねぇ。となりゃ、あんただけじゃない、ここに居る堅気の衆に、何を仕出かすか分らない。黙って見ていて貰うのが、最善の方法だと思うが。如何だい、これでも納得は出来ないか。」
「小狼お前が騒ぐ程、それだけ無関係な人間を巻き込む、それで良いのか。分ったならそこで黙って座っていろ。いいか、何もするなよ。」
こう言われては制止した青年とて、黙って見ている他は無く、小狼もまた黒鋼にしっかりと釘を刺されてしまい、何も出来なくなってしまった。
「つまらねぇ茶々が入っちまったが、仕切り直しと行こうか。」
「ああ、そうだな。」
兄貴分が促すと、再び邪魔が入らぬ内にと、黒鋼は兄貴分の一物に手を伸ばした。
兄貴分の一物は遠めで見ても立派だったが、手に取って目を近付けると。更に立派な物だと改めて思い知った。
黒鋼の大きな掌に乗せても有り余り、例え真珠の重さを差し引いたとしても、ズッシリとした重みで手が下がる程だ。手触りもまた好かった。長年女の膣と淫水で鍛えられたのか、じっくりと歳月を掛けたなめし具合と、刺青を入れた皮膚独特の感触が、絶妙な肌触りで、刺青は鈴口の中にまで入れてあった。
そして真珠にばかり目が行きがちだが、男根を取り囲み、瘤の様に浮かぶ真珠の間を縫う様に、これもまた極太な血管が絡み合っており、それはまるで真珠を埋め込む時に、一緒に生きたミミズを埋め込んだかの様に、ピクピクと脈打っていた。
この独特の皮膚感、硬くゴロゴロとした真珠、そしてピクピクと強く反発するミミズの様な血管、この一物が完勃ちして、自分の中に埋められた時の事を考えるだけで、黒鋼は一刻も早く勃たせたくなるのだ。
「むぅ、んんっ、んっ、うんっ。」
黒鋼はただ咥え込むのでは無く、ピチャピチャと音を立て、真珠の一粒、一粒を、ミミズの様な血管をなぞり、肉袋に入っている檸檬程の大きさが有る金玉を、口を大きく開けて頬張ると、口の中で舐め回したり、肉袋ごと引っ張り、ッポンと音を立てて口から出したり、肉袋を下から掬い舐めたりしてみせた。
やがて兄貴分の一物が勃ち上がると、鈴口から溢れる我慢汁を右手にベチャリと付けて、そのまま自分の尻孔に持っていくと、一本一本我慢汁で濡れた指を入れ、遂には三本の指でグチョグチョと尻孔を解した。
しかも黒鋼は一連のその動作を、兄貴分に対してだけで無く、湯殿に居る男達全てに見せ付けていたのだ。
案の定、男達は二人の痴態から目を離せないでいた。何しろ当のやくざでさえ滅多にお目に掛かれない兄貴分の一物を、極上の男が目の前で奉仕しているのだ、しかもその極上の男が自分の尻孔を、自ら解して開いているのだ。
黒鋼の完成された体を見た時、男達は皆、男としてこう成りたいと言う、羨望の眼差しで見ていたと思っていたのだが、我知らず、いつの間にか男達の男根は全て硬く天を衝いていた。
「むぅ、くっ。」
黒鋼の舌技の前に、弟分達と堅気の衆の前もあり、また自分から体で償えと言った手前、兄貴分は思わず精を放ちたくなるのを、必死の思いで堪えていた。
少しでも気を抜くとそのまま持って行かれそうに成るのだ。今までは女達に自慢の一物を無理矢理に咽の奥まで捻じ込み、餌付いてもがいたとしても頭を押さえて、精を放つまで口から出す事を許さなかったのだが、同じ男である事なのか、押さえ所を心得ており、黒鋼は舌技のみでこうも自分を翻弄するのだ。
「むっ、出すぞっ。」
だが遂に堪え切れなくなり、兄貴分は墜情した。
「んんっ、んっ、うぅん。」
兄貴分が精を放つ瞬間に、黒鋼は口を大きく開けて、撃ち出された精を口の中で受け止める様を見せ付け、その精の濃さ・量・粘り具合を知らしめた。
ゴクリと咽を鳴らして飲み込むと、
「流石に濃いぃな。まだ咽に絡んでやがる。」
そう言って後ろを振り向くと、湯船の縁に腰掛けている兄貴分の、勃ったままの一物の上に腰を下ろし、ズブズブと尻孔の中に沈めていった。
「くうっ。」
「おおっ。」
黒鋼の尻孔は兄貴分の極太の一物で大きく伸ばされ、一物が沈み込んで行く度に、埋められた真珠の一粒、一粒がそれぞれ尻孔の縁に引っ掛かり、そしてそれがツプンツプンと尻孔の縁を弾く様に入って行くのだ。
しかも完全に突起物を固定された張り型とは違い、動きに合わせて真珠も皮膚の下でゴロリゴロリと自在に動き、血管はビクンビクンと波打つ様に蠢き、それらは刺青入りの皮膚を通して、黒鋼の粘膜を今まで知られざる感触で、愉しませるのだ。
兄貴分は黒鋼の尻孔の内に驚嘆していた。尻孔を使った性交は女達ともあったが、膣の様に濡れる事は無い上、自慢の一物で伸び切り、圧迫されるだけで詰まらなかったのだが、黒鋼の尻孔は一物で伸び切っても、真珠の一粒、一粒の間に出来た隙間にさえ、ネットリと絡み付き蠕動し、肉壁全体で締め付けるのだ。
そして自分の我慢汁だけで濡らした筈なのに、肉壁の内は既にヌルヌルと濡れていたのだ。もっともそれは、銭湯に来る前にした青姦で、小狼が黒鋼の内に精を注ぎ込んだままにしていたからなのだが。
お互い興が乗り激しく動き始めると、黒鋼の魔羅と肉袋と兄貴分の極彩色の肉袋が、ブルンブルンとブランコを大きく漕ぐ様に揺れて、兄貴分の極彩色の肉袋が黒鋼の股座にまで持ち上がり、まるで黒鋼が極彩色の肉袋を付けている様だった。
男達はもはや目を離す事が出来ないでいた。人間の物とは思えない極彩色に彩られた歪な形の兄貴分の一物が、激しく黒鋼の尻孔を出入りしていて、その黒鋼の尻孔は、真珠の為に尻孔の縁がグニャグニャと波打つ様に動き、赤く充血した粘膜を捲り上がらせている。
「あっ、兄貴、そのぉ。」
弟分の一人が我慢出来なくなり、声を掛けたが、自分から犯らせてくれとは言えずに、言葉を濁らせていると、
「一人一人構っていられねぇ、まとめて相手をしてやるっ。掛かって来やがれ。」
黒鋼は弟分に犯らせる口実を作ってやると、
「何だとっ、その減らず口塞がれてぇのか。」
「後悔するなよっ。」
「お望み通り、相手をして貰おうじゃないか。」
ここまで見ればこの行為が、合意の上の事だと誰にでも分る、弟分達は黒鋼の言葉の真意を汲み取って、白々しい台詞を吐いて参入した。

黒鋼は犯されている様で、その実四人の男達を味わっていた。
兄貴分の一物をそのまま味わいつつ、二人の弟分達の一物を両手で扱き、そして減らず口を塞いでやると言った、残る弟分の一人に、言葉通りその一物で塞がれていた。
三人の弟分達の一物は、人間離れした兄貴分の一物とは比べ様が無いが、黒鋼の魔羅と比べても遜色の無い代物で、黒鋼を悦ばせた。
兄貴分ほど真珠を入れていない為に、弟分達の一物は尚更人間臭く感じられて、素人女でも受け入れ易いだろうと、黒鋼は思えた。

小狼は煩悶していた。黒鋼は尻孔を目一杯に伸ばして極彩色の苦瓜咥え込み、本当の口はあんなに大きな肉棒を美味そうに咥え込んでいるのだ。それは溢れ出る我慢汁と黒鋼の唾液でテラテラと艶めいて、正に炙られたばかりにパンパンに膨らみ、肉汁溢れる極上肉で作られた、極太の腸詰を頬張っている様に見えるばかりか、好物の極太腸詰がまだ喰い足らず、いつでも直ぐに喰える様に、意地汚く両手にも握り掴んでいる様に見えた。
兄貴分でさえ必死に堪えた黒鋼の口淫の前に、一物を頬張られた弟分はそれだけで陥落寸前だった。それは一物を握り?まれ、黒鋼に手淫を受けている、二人の弟分達も同じであった。
今更手淫で達する事など、やくざの世界に足を踏み入れてから、一度も無いと言うのに、まるで精通が始まり、自慰を覚えたばかりのガキに戻ったかの様に、あっと言う間に達してしまいそうだが、色事で生きているやくざの面子もあり、必死に堪えていた。
しかしながら、三人の弟分達は、辛い苦行に耐える修行者の様な顔で堪えているので、自ずと黒鋼の体が見た目だけで無く、肉の悦びを与える極上の男だと、彼らの痴態を見詰める堅気の男達に知らしめた。

「ううぅ。」
「くぅ。」
「うっ。」
「ああっ。」
「うっ。」
四人はほぼ同時に達した。兄貴分の精は大量に出るあまり、黒鋼の尻孔と一物に埋められた真珠の間に出来た隙間から、ゴポリゴポリと漏れ出て極彩色の肉袋を伝い、タイル張りの床の上に零れ、白い水溜りを作り、黒鋼の魔羅はブンブンと激しく上下運動をして、この痴態を遠巻きに見ている、堅気の男達の足下にまで子種を飛ばした。
一物を黒鋼の両手に握られている二人の弟分達は、そのまま黒鋼の体にドロリとした精を放ち、赤銅色の肌に白い川筋を描き、一物を頬張られている弟分は口の中、咽の奥にまで突き入れて精を放ったので、飲み干し切れなかった黒鋼の口からダラダラと漏れ出て、あたかも極太腸詰の中にタップリと詰まった肉汁が、口の中で噴き出した様に見えた。
そしてそれは、残る二人の弟分達の一物が黒鋼に頬張られ、一巡りするまで行なわれ、その間兄貴分は湯船の縁に腰掛けたままと言う、不安定な体勢を保ったままに、その強靭な腰で黒鋼を突き上げていた。

弟分達が全員黒鋼の口淫の洗礼を受け終わる、兄貴分は湯船の縁から腰上げると、黒鋼をタイル張りの床の上に四つん這いにし、後ろから尻孔に極彩色の苦瓜を再び捻じ込むと、尻孔の締まりを良くする為に脚を閉ざさせ、自分は四股を踏む様に脚を開くと、腰を激しく使い出した。
大きく足を開いた事で兄貴分の刺青が、厚く盛り上がった尻肉の狭間に隠された、尻孔の縁ギリギリにまでに入れられている事を知る事が出来た。
腰を激しく大きく動かす事で、腰を掛けていた時と同じ様に、檸檬程の大きさも有る金玉が納まり、重く垂れ下がった極彩色の肉袋が、ブランコを大きく漕ぐ様に揺れては、ベタンベタンと音を立てて、叩きながら自分の尻孔を隠すのだった。
兄貴分が黒鋼の中に精を放つと、再び湯船の縁に腰掛けて黒鋼に口淫を促し、弟分達の一人に尻孔を犯させ、残る二人には手淫を施させると、弟分達の一物が黒鋼の口淫を受け、一巡りするまで続けられた時と同じ様に、弟分達の一物が黒鋼の尻孔を味わうのを、一巡りするまで続けられ、その間兄貴分は、黒鋼の口淫をまったりと堪能していた。
「くぅ、持ってかれる。」
「堪んねぇー。」
「吸い込まれちまうっ。」
弟分達は黒鋼の尻孔を味わうと、それぞれ感嘆の声を上げ、犯す立場でありながら、自分達が絶えず喘ぎ声を上げていた。それは堅気の衆の前で、竿師の面子を保つ事が出来ない程の快感で、この肉の悦びを味わえるならそんな事にかまっていられなく成ったのだ。

「ふぅー。」
あれから同じ行為をもう一巡りして、ヤキ入れと言う名の乱交を終えると、黒鋼は精でドロドロに塗れた体を、白く粘ついた水溜りがある、タイル張りの床の上に脚を軽く投げ出して座り込み、湯船に腕を上げて寄り掛かると、至極満足気な息を腹の底から出した。
「落とし前は確かに受け取ったぜ。兄さん、あんた肝が据わってるねぇ。」
黒鋼の回りにやくざ連中も座り込み、兄貴分が黒鋼に声を翔けると、
「まちな、まだ済んじゃいねぇよ。」
黒鋼が思いもよらない事を言うので、
「落とし前は確かに受け取ったんだ。他に何が有るってんだい。」
兄貴分が驚いて言うと、
「あんたが落とし前を受け取ったと言うなら、それで良い。だが堅気の皆さんに迷惑を掛けちまった事に違いは無ねぇ。ここは騒ぎを起こしちまった事に対して、皆さんに俺なりの詫びを、受け取って貰うってのが、筋ってもんじゃねぇのか。」
黒鋼がニヤリと笑って、これ聞こえよがしに言うと、
「確かにな、堅気の皆さん。この兄さんがあんたらに、自分なりの詫びを入れたいってんだが、受け取ってはくれねぇか。」
兄貴分も黒鋼の考えが分り、誘う様に声を投げ掛けると、堅気の男達はその言葉が含む事が分かり、何とも言えない笑い顔で互いの顔を見渡し、その場を繕うとしたが、何とも間が抜けた事に男達は皆、軽く腰を引き股間を手で覆い隠しており、手で隠されている物が今、どんな状態になっているか教えている様なものだった。
ここにいる者達は皆、この銭湯の中だけで挨拶を交わす程度の、名前も知らない顔見知りで、酒宴の席で御馳走を前に、相手に先に手を出す様勧め合う仲では無く、またそれと同じ様に、誰か先に黒鋼に手を出す様勧める事は出来ずにいた。
むしろ自分が他の誰よりも先に、黒鋼のお相手になりたかったのだ。羨望の眼差しで見ていた黒鋼の体を、やくざ連中が貪っている様を、心底羨ましく垂涎の眼差しで見ていたのだからいた仕方ない。とは言え男達は正直今直ぐにでも、黒鋼にむしゃぶりつきたかったが、自分から手を出す切っ掛けが持てないでいた。
「如何した、犯らねぇのか。」
黒鋼が尻肉の奥に隠されている尻孔を、見易い様に軽く脚を上げて誘うと、奇妙な静寂が湯殿の中を覆った。
ゴクリッ。
誰かが生唾を飲み込んだ音が、静まり返った湯殿の中に響くと、
「来いよ。」
黒鋼の一言が男達の背中を押し、それまでの躊躇が嘘の様に静寂を破り、怒号を上げながら一斉に跳び掛かった。
「すげぇ、何て体だ。」
「早く咥えてくれよっ。」
「男の体がこんなに好いなんてっ。」
「魔羅もすげぇぜっ。」
「扱かれただけで、逝っちまう。」
「おいっ、早く代われよっ。」
やくざ程体裁を気にしないのか、男達は周りを憚る事無く、大声で黒鋼の体を賞賛し、やくざ達の精を気にしないのか、精でドロドロに塗れた黒鋼の体を舐め回し、撫で回した。
「おらっ、もっと腰を振れよっ。」
「あんな、ぶっといもんが入ったんだ、二本挿しでも平気だろっ。」
「こっちの口も二本咥えるんだよっ。」
「俺達の物じゃ、物足りないってかっ。」
「だれてんじゃねぇよっ。」
「おらっ、逝けっ、逝っちまえよっ。」
男達は自分の女房や恋人には絶対言えない言葉を、黒鋼にぶつける事で自分自身を興奮させ、極上の男である黒鋼を善がらせている、と言う征服感に酔いしれていた。
ましてや柔な女の体の様に気遣う必要は無い、自分勝手な快感を得る為に、今まで自分の女に言い出す事も出来なかった、欲望の形の数々を黒鋼に求めた。
詫びを入れると黒鋼の方から言ったのだ、なら遠慮する必要は無い、それを理由に男達は更に激しく責め立てた。

タイル張りの床の上、更に大きく拡がった白く粘着く水溜りの中に、黒鋼は寝そべっていた。
堅気の男達もやくざ達と同じ様に黒鋼の周りに座り込んでいた。
黒鋼の極上の体に性技の前に、男達は直ぐに精根尽き果てたが、普段の自分では絶対に出来ない事を遣り尽くして、心地好い倦怠感と充足感に浸り、まどろんでいた。
「これで手打ちって事で、構わねぇか。」
黒鋼がムクリと体を起こして言うと、
「ああ、もう十分だ。」
「こっちの方が世話になっちまったな。」
「人生変わっちまったぜ。」
「もう汁も出ねぇよ。」
「目から鱗が落ちたってか、新しい自分に目覚めちまったぜ。」
「今迄の人生損したって感じだな。」
男達も腹一杯でこれ以上は食えないという感じで、満足げに答えた。
「んっ。」
黒鋼が男達の言葉に、改めてひとっ風呂浴び様かと体を動かすと、視線の中にタイル張りの床の上に、俯いて正座をしている先程制止した青年が映った。
「何だ、あんた交ざらなかったのか。」
黒鋼が近付いて聞くと、
「あのっ、俺はいいですから。」
更に俯き縮こまって言うので、
「遠慮するなって、皆同じなんだからよっ。第一そんなんじゃ、納まりが付かなくって帰れねぇだろ。」
黒鋼の指摘通りに、青年は正座した股の上をしっかりと手で隠していた。
「あんたが止めに入った時に見ちまったが、粗末な物じゃなかっただろ。そんなに成ってんだ、気持ちが悪いって訳じゃないよな。」
黒鋼が茶化して言うと、
「気持ちが悪いだなんて、そんなっ。」
「それじゃー、恋人に操を立てているのか。」
「恋人なんていませんっ。」
「じゃ、何が問題なんだよ。」
青年のハッキリとしない物言いに、黒鋼が詰め寄るように言うと、男はモゾモゾと体を動かすと、行き成り湯殿の中に響き渡る大声で、
「自分っ、童貞なんですっ。」
自分が童貞である事を告白すると、恥ずかしさのあまりに、真っ赤に成って縮こまってしまった。
間近で叫ばれたものだから、耳鳴りが治まるまで黒鋼は耳を押さえていたが、何か企んだ顔で他の男達の方向き、ニヤリと笑うと、
「だったら尚更好都合だろ。今その道の達人が揃ってるんだ。御口授願えるぜ。なあ。」
黒鋼がそう言うと、
「そうだぜ、初めてだからって恥ずかしがるなよ。誰でも最初は初めてなんだからよっ。」
「据え膳喰わなきゃ男の恥だぜ。」
「こんな機会は二度と無いぜ。これを逃すなんて奴は莫迦だぜ。」
「世話になっちまえよ。」
やくざ達も堅気の男達も揃って、いまだに怖気づいている青年を囃し立てるように煽った。
何しろ童貞喪失の瞬間が見れるのだ。こんな面白い事は無い。思い起こせば自分が童貞を失った時は、男として恥を掻きたく無い事に必死で、その時の事は殆ど覚えておらず、あっと言う間に終わってしまったし、人に気付かれない様に隠れて、相手と二人っきりで及んだのだ。ましてやそれを人に見せる物では無い。
それが分かるだけに、人前で自分の純潔が失われる様子を晒す事に、制止した青年が尻込みするのが分かるのだが、自分では知り様も無い、男が童貞を失う様子を見たい好奇心で一杯だった。
「ほらっ、皆ああ言ってんだ。我慢は体に悪いぜ。」
そう言いながら黒鋼は、青年の股間を隠している両手を強引に引き剥がすと、その中に勃ち上がっている男根を握りこんだ。
「うっ。」
それだけで青年は射精してしまった。
「まだ、いけるだろう。」
青年に恥を掻かせない様に、また心のタガが外れる様に、黒鋼の手を濡らす青年の精を、ペロリと美味そうに舐めて誘った。
あとは黒鋼に誘われるままに、青年は催眠術に掛かった様に虚ろな目をしながら、黒鋼に縋り付く様に抱き付いた。

今迄の性交を見ていなかったのか、それとも見ていたとしても、実際に犯るとなれば勝手が違うのか、青年はぎこちない手付きで黒鋼の体を触っては、一々黒鋼の顔を見て反応を確かめて、次の愛撫へと移っていた。
そんな遠慮がちな手付きの愛撫では、いまさら黒鋼が感じる訳は無く、俺の肉を握り潰すつもりか、噛み千切るつもりで犯りやがれっ、と怒鳴り付けたかったが、そんな事を言えば返って青年が萎えてしまいそうなので、ここはさっさと突っ込ませるに限ると、
「もうタップリと解されているんだ。今更こんな事をしなくてもいいぜ。それよりもあんたの息子が欲しくて、さっきから尻の孔が疼いて堪らねぇんだ。あんたが如何にかしてくれるんだろ。」
黒鋼が自分から尻を上げて誘うと、青年は両手を黒鋼の両膝裏に掛けると、そのまま勃ち上がった息子を尻孔に近付けたが、黒鋼の蕩ける様に柔らかく解され、熱く濡れた尻孔に触れた途端、
「うっ。」
触れただけで達っしてしまった。
「すみません。」
青年はあまりの恥ずかしさに消えてしまいたくなり、聞き取れないほどの声で謝ると、
「まだ硬ぇじゃねぇか。それに俺の疼きはまだ治まちゃいねぇよ、男を見せてみろよ。」
黒鋼は青年を奮い立たせる為、息子を握ると耳元で囁き促した、
青年はその言葉にもう一度気を奮い立たせると、黒鋼に再び挑んだが、しかしながら、
「あれっ、あれっ、このっ。」
青年は両手を黒鋼の両膝裏に掛けたまま、手を添えずに勃ち上がった息子を尻孔に挿れ様とするので、いつまで経っても入れる事が出来ずに焦っていた、
「こう犯るんだ。」
黒鋼が手本を見せて青年の息子を掴み、自分の尻孔に導き、そのままズブズブと吸い込むと、
「ああっ。」
「んっあっ、あっ。」
挿入しただけで想像も出来なかった、あまりの快感に嬌声を上げると、腰を三擦り半も動かさずに達ってしまった。
「・・・・・。」
青年はもはや余りの情けなさに声も出ず、涙ぐんで俯いてしまった。
「三回も達ってるんだ、次はもっと持たせるだろう。第一あんたの息子はまだ、いけるってよ。」
黒鋼は尻孔の中に納まっている、まだ硬いままの息子を感じながら、尻孔をキュッと締めて、青年の尻を掴み自分に引き寄せると、あとは条件反射の様に青年は腰を動かした。それは何の技巧も無い単なるピストン運動だったが、童貞を貰った事と一所懸命に腰を動かしている事から、今の黒鋼には十分だった。
「あっ、あっ、あーー。」
青年が黒鋼を抱いているのに、青年の方が始めて抱かれた、処女の様な声を上げて墜情すると、
「おらっ、まだ、まだぁ。」
黒鋼は青年の腰が止まり、息子が萎える前に男の尻を掴むと、再び自分に引き寄せてピストン運動続行させた。
「ふんっ、ふんっ、ふんっ、ふんっ、ふんっ。」
青年は一言も発せずに、ひたすらに腰を振り続けた。
黒鋼は青年の顔を両手で押さえると、行き成り口付け、ピチャピチャと舌を絡めた。
「んぅーーー。」 
青年は突然の事に驚いて目を見開いたが、暫くするとトロンとした目になり、自分からもピチャピチャと舌を絡めた。
「キスをした事はあるか。」
唾液の糸を引きながら、口を離して黒鋼が尋ねると、
「いえ、ありません。」
腰を止める事無く背年が答えると、
「これも初めてか。」
「はい。」
「じゃあ、もっとくれよ。」
「はい。」
今度は青年から黒鋼に口付け、ピチャピチャと舌を絡めた。
青年は暫くの間、舌を絡めながら腰を振っていたが、突然口付けたままビクンビクンと痙攣すると、そのまま動かなくなった。
それが最後の墜情だったのは、誰の目からも明らかだった。
「好かったか。」
ピチャリと音を立てて口を離し、黒鋼が尋ねると、
「はい。とっても好かったです。」
青年は黒鋼の胸に顔を埋めたまま答えた。

「あっはっはっはっはっはっ。」
「そりゃいい。最高だな。」
「それで、その後どうなったんだ。」
「それより、俺の話も聞いてくれよ。」
「まだまだだな。俺の方がもっと凄いぜ。」
何故かあれから湯殿に居た男達は皆、やくざ・堅気関係無く意気投合して、お近付きのしるし代わりと、輪になってお互いの背中を洗い、湯船の中で車座になり、自分達の恋愛遍歴を自慢し合っていたのだ。
「しかし今日まで童貞だったってのに、随分と犯るじゃねぇか。」
「取り敢えずは抜かずの三発になるのか。手扱きを合わせて四発か。」
「本当は、ムッツリ助平ってか。」
男達が制止した青年をネタに騒いでいると、
「そう言や、こいつは抜かずの三発だったが、あんたは抜かずの四発だったな。ってのが有るが、幾等なんでも、あんたと言えども無理か。」
黒鋼が兄貴分に向かって言うと、
「抜か八どころか、朝まで入れっ放しなんてお手のもんよ。」
兄貴分が嘘とも本当とも付かない事を言うので、
「ほぉ、それが本当なら凄ぇな。(なら今度、試させて貰おうか。)」
「疑ってんのか、この野朗。(いつでもいいぜ。)」
他人が聞けば話の流れの上での受け答えだが、その実言外に、次の逢瀬を取り交わしていた。二人ともこれっきりにするつもりは、毛ほども無かったのだ。
「そう言や、兄さんあんた何の仕事をしてるんだい。まだ聞いていなかったよな。」
誰かが制止した青年に就いている仕事を聞くと、
「いえ、自分は、別に、その、大したものじゃ。」
青年は湯船に浸かってからずっと、俯いたままだったが、話を振られた時も俯いたまま、言葉を濁らせて答えをはぐらかした。
「なんだ、恥ずかしがるなよ。」
「まさか仕事に就いていないって事は無いよな。」
「家、仕事には就いています。」
「だよな。この桜都国では無職ではいられねぇからな。」
「で、何の仕事なんだい。」
「いえ、本当に、大したもんじゃ。」
他の堅気の男達が就いていたのはやはり、人力車の車引きや蒸気機関車の機関士、港での倉庫作業員に、鳶職や鉄工員等で、体力・腕力を使う仕事に就いていた。体もそれなりに鍛えられていたのも、夜半まで働いていたのも納得出来る。
他の男達よりも見劣りする仕事に就いているのか、青年は俯いたまま頑として答えなかったが、実は俯いていたのは、自分が就いている仕事が恥ずかしい訳ではなかった。
黒鋼を挟んで右に兄貴分、左に青年が座っているのだが、濁り湯の為に分からないが、湯船に浸かってからずっと、黒鋼の左手で息子を弄られているのだ。黒鋼も達かせるつもりは無く、手触りを愉しむ為にやっている様だった。
それだけでなく黒鋼は右手で青年の右手首を掴むと、右手を黒鋼の魔羅に持って行き、同じ事をしろとせがんだが、恥ずかしくてとてもそんな事は出来無いと、右手を引こうとしたら別の左手で黒鋼の魔羅ごと掴まれた。
黒鋼の右手は青年の右手首を掴んでいる、ならこの左手は兄貴分の物に違いない、最初の内は兄貴分の左手で強引に動かされていたが、他人の男根、それも黒鋼の魔羅に始めて触るという好奇心で、青年から魔羅を弄り始めると、兄貴分の左手が離れて、青年の右手と兄貴分の左手で、それぞれバラバラに黒鋼の魔羅を弄り始めると、黒鋼の右手が青年の
右手首から離れた。黒鋼の右手は今、兄貴分のあの極彩色の苦瓜を弄っているのだろう。
衆人観衆の中童貞喪失を見られ、今は三人肩を並べてそれぞれの男根を弄っている。そしてその事実が、精神と肉体の両方を興奮させている。
今のせ因縁の顔を良く見れば、顔を赤くしている理由が、のぼせているだけでは無い事が知られる。その事が更に男を興奮させた。

小狼は湯船の角に座り込み、車座に座っている男達に背を向け、不貞腐れた顔で鼻の下まで湯に浸かり、ブクブクと口から泡を吐いて拗ねていた。そして楽しそうな笑い声が上がる度に振り向いて、ジトリと恨めしそうな目を黒鋼に送るのだった。
黒鋼に文句をはっきり言えず、視線しか送る事が出来ないのは、小狼にも後ろ暗い事が有る為だった。
始めの内こそ黒鋼に釘を刺され、タイル張りの床の上に胡坐を掻いて座っていたが、非日常的な兄貴分の体が黒鋼の体を犯すのを見て、如何にも興奮を治める事が出来ず、我慢の限界に達したが、黒鋼に手を出す事を禁じられていた為に、その場で自慰に耽ってしまったのだ。
それはあの制止した男が終わるまで続けてしまい、ふと、黒鋼と目が合った時には、タイル張りの床の上に胡坐を掻いて座ったまま、股間に手を掛け、タイルの上に言い逃れの出来ない、白い水溜りを作っていたのだ。
そんなこともあり黒鋼も憎たらしいが、自分自身も憎たらしく強く出れないでいたのだ。
小狼のそんな視線を感じる度に黒鋼は、まいったなぁと思うのだった。小狼は一端拗ねると結構しつこいのだ。それはこの後直ぐに思い知るのだが、黒鋼がそれを知る由も無い。

「んっ、んっ、ぷっはー。ひとっ風呂浴びた後の一杯は美味いねぇー。」
火照った体を冷やす為に牛乳を一気飲みすると、黒鋼は満足気な息を吐いた。
「そりゃ美味いでしょうね、あれだけ愉しめば。」
牛乳瓶を片手に小狼が嫌味を言うと、
「そう言うなって、第一原因を作ったのはお前だろ。」
だから文句は言うなよ、という感じで黒鋼が言うと、
「ええ、そうですよ。俺が悪いんです。でも、あれは無いでしょう。あれは。」
憤懣やるせない様に、声を低めて小狼が言うと、手にした牛乳瓶の中身を飲み干し、黒鋼の尻を大きく開かせて、飲み干した牛乳瓶の底を尻孔に押し当てると、そのまま突き入れた。
「冷てぇーーー。手前ぇ、行き成り何しやがるっ。」
兄貴分の極彩色の苦瓜を始め、散々男達の男根に解されていた為に痛みは無く、またガラスとしての性質の為か、殆ど抵抗無くツルリと尻孔に吸い込まれて、飲み口の括れの所でツルンと止まり、黒鋼の尻孔の中が覗けて見えたが、牛乳瓶に残った牛乳の所為か、それとも黒鋼の尻孔の中に残った男達の精の為か、赤く充血した肉壁が白くぼやけて見えた。
痛くは無いが、流石に冷え切った牛乳瓶は冷たく、このまま入れっ放しでは腹を壊しそうなので、抜き取ろうと尻に手を伸ばすと、
「駄目です。これは帰るまで取らせません。あんな物を入れていたのだから、これくらい平気でしょう。」
小狼が黒鋼の腕を掴んで邪魔して言うと、
「マジかよ。」
「マジです。」
小狼の真面目な顔に、ここで強引に抜き取ると更に拗れるなと、黒鋼は諦めて、
「ちっ、しゃーねぇlなー。」
尻孔に牛乳瓶を突っ込んだまま、六尺褌を締めて銭湯を出ると、
「また、どうぞ。」
番頭の声が掛かってきた。
今気が付いたが、自分達が銭湯に入ったのは結構夜更けだった、あれから大分時間が経っているのに、湯殿に居た自分達に店仕舞いの声を掛けてこないばかりか、あれだけ騒いでいたのに覗きにも来ず、目の前で尻に牛乳瓶を突っ込まれたのに、無関心だった。こんな時分にやる商売だけに、余程の事が無い限り首を挿まないのが、この手の商売の処世術か、と黒鋼達は見当はずれな事で感心した。
その後あの牛乳瓶は嫌味ったらしく、今は黒鋼達の寝室で花瓶代わりに使われている。ご丁寧に菊の花を挿して。

しかも話はこれで終わらなかった。
「本当に分かっているんですか。」
「分かってるって。」
「信じられませんっ。」
「しつけーなー。」
翌日、いつもながら街中で情報収集をしながらも、黒鋼は昨夜の出来事を背中越しに、小狼から文句を言われながら歩いていると、
「大体黒鋼さんは、どうっ、んっぷっ。」
小狼は行き成り立ち止まった、黒鋼の背中に顔をぶつけてしまった。
「黒鋼さん、一体如何したんですか。」
小狼が黒鋼の前に回り顔を見上げると、黒鋼はジッと一点を見詰めているので、その視線を辿ると、交番の前で若い憲兵が老人に道案内をしている様だった。
「あの人達が如何したんですか。」
小狼が疑問に思い黒鋼に尋ねると、黒鋼はツッと交番に向かって歩き出した。
「頼み事が有るんだが。」
頭を下げながら遠ざかる老人に、手を振りながら見送る若い憲兵の後ろから、黒鋼は声を掛けた。
「はい、何かお困り、あっ。」
若い憲兵は振り向き様に返事を返しながら、黒鋼の顔を見て固まってしまった。
「黒鋼さん、本当に如何したんですか。あっ」
黒鋼に追い付いた小狼が、若い憲兵の顔を見て驚いた。それは髪を後ろに撫で付て整え、大人びて見せ様としているが、その顔は確かに昨夜黒鋼に筆下ろしをされた青年だった。
「ああ、本当に困っているんだ。」
そう言いながら黒鋼は、憲兵を交番の中の壁際に追い込み、逃げられない様に顔の両脇に黒鋼の両腕を付け押さえ込むと、
「本当に困っているんだ。あんたにしか出来ない事だ、是非とも俺の頼み事を聞いて欲しいんだ。」
押しかかる様に憲兵に顔を近づけて、下でに出た言い方をしたが、それは如何見ても脅迫している様にしか見えなかった。
「たっ、頼み事というのは何ですか。」
憲兵は狼狽しながらも、自分を取り繕いながら聞き返すと、
「あんたが憲兵だったとはね。で銭湯での件が役所に知られると、俺達ゃ本当に困るんだ。上には黙っていて欲しいんだよ。俺の頼み事を聞いてくれよ。」
「本官は昨夜の件を上に報告する気は有りませんし、誰かに吹聴するつもり何て。」
「だが気が変わるって事もあるだろ。」
「気が変わるなんて。」
「信用出来ねぇな。」
「そんなっ。」
「それじゃ誰にも言わないって言う証拠を見せて貰おうか。」
「証拠何てどうやって。」
「取り敢えず口止め料を貰おうか。」
「ほっ、本官を脅迫するつもりですか。金なんて有りません。」
「金じゃねぇよ。まっ、別の物を貰うがな。」
黒鋼は交番の奥にある引き戸に向かって、憲兵を引き摺る様に連れて行くと、その中に放り込んだ。
「一寸黒鋼さんっ、何するんですかっ。」
その様子に慌てて小狼が駆け寄ると、
「小狼、お前はそこで人が来ない様に見張っとけ。」
黒鋼は小狼に、交番の前で人払いする様に命じた。
「見張っとけって、何で。」
 「口止め料を貰うまで、人に邪魔されたく無いんだよ。いいな、絶対誰も入れるなよ。」
 黒鋼は小狼に念を押すようにもう一度命じると、ピシャリと音を立てて閉じ、内側から鍵を掛けてしまい、小狼が入れない様にしてしまった。
 「黒鋼さんっ、開けて下さいよっ。」
 小狼は引き戸をガシャガシャと音を上げて叩いたが、向こうからは黒鋼の返事は返らず、それどころか交番に訪れる人達に対応する為に、結果として黒鋼の命じた通りになってしまった。
 
 引き戸の向こうを窺い知る事が出来ないならば、せめて何かの音だけでも聞き取れないかと、交番の表を気にしながら小狼が耳をそばだてると、
 「それじゃ早速、口止め料を貰おうか。」
 「金じゃなくて、他にどんな口止め料が有るんですか。」
 「口止め料ってのは、言葉通りさ。」
 引き戸の向こうから聞こえる会話が、急に途絶えたと思ったらピチャピチャとした水音が聞こえて来た。
 「口止め料と言うのはこの事ですか。」
 「いや、これからさ。」
「でも本官には、職務が。」
「黙ってろって。」
 「あっ。」
 再びピチャピチャとした水音と、幽かな衣擦れの音が聞こえ、
 「あっ、そんなところをっ、口でっ、汚いです。」
 「なら綺麗にしてやるよ。」
先程よりもピチャピチャ、クチュクチュと大きな水音が聞こえ、
「ああっ、いいっ、こんな事をっ、するなんてっ。」
「これも初めてだよな。」
「あっ、はいっ、初めてですっ。」
「直ぐに使える様にしてやるよ。」
ガサガサと大きな衣擦れがきこえて、
「もう、駄目ですっ、離して下さいっ。」
「飲んでやるよっ。」
「えっ、飲むってっ、そんな事っ、あっ、もっ、ああっ、んぅんっ。」
憲兵の息を詰まらせる様な声が聞こえると直ぐに、ゴクリと何かを飲み込むような音が聞こえて、
「なっ、何て物を飲むんですかっ、早く出して下さいっ。」
「もう飲んじまったよ。」
「そんな、あんな物を飲めるなんて。」
「あんたのだから尚更美味かったぜ。」
「俺のが美味いだなんて・・・・・。」
ガサガサ、カチャカチャと音がして、
「解しておいたからな、俺の方はいつでもいいぜ。」
「あっ、もうこんなに柔らかい。」
「犯り方は覚えているな。」
「はいっ、覚えています。」
「なら来な。」
「ああっ、凄いっ、吸い込まれていくっ。」
憲兵が言い終わる前にガサガサと激しい衣擦れと、ハッ・ハッ・ハッと荒い息遣いに、パンッ・パンッ・パンッと何か乾いた物を、勢い良くぶつけ合う様な音がした、
どれ程の間、その音だけがしていたのだろうか、
「もうっ、これ以上はっ、持ちませんっ。いいっ、ですっ、かっ。」
「おらっ、遠慮無くぶっ放せ。」
「はっ、はいっ。いきますっ。いくっ、いくっ、いく――っ。」
「おおっ、凄ぇ勢いで流れ込んでくるぜっ。」
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、と暫く荒い息遣いだけが聞こえ、ガサガサと衣擦れの音が聞こえた後に、ガラリと引き戸を開けて二人が出てきた。
「それじゃぁ上には黙っといてくれよ、男同士の約束だ。」
「ああぁ、はいぃ、約束しますぅ。」
小狼が憲兵を見ると、引き戸の中に入るまで、キッチリと制服を着込んでいたのに、今は後ろに撫で付けて整えていた髪が乱れ、詰襟や袖口に、上着の裾からチラチラと白いワイシャツの布地が見え、詰襟はズレ、ズボンのチャックは下りている。上官が見たら間違いなく、弛んでいると叱責されるだろう。
「じゃぁな。」
「ああぁ、はいぃ。」
黒鋼は、用は済んだとばかりに、あっさりと踵を返して出て行くと、憲兵は夢の中でまどろんでいる様に、トロンとした潤んだ目で、ユラユラと手を振りながら、黒鋼の後姿が見えなくなるまで見送り続けていたのを、小狼は何度も振り返りながら確認していた。

と、ここまでは小狼も知っている後日談なのだが、この後小狼が知らない、黒鋼だけの後日談もあったのだ。
交番での一件があったその晩に、黒鋼は早速花街へと、しけ込んだのだ。
あの兄貴分は、花街ではそれなりの顔役だったらしく、直ぐに居場所を知る事が出来た。
抜かずの八発どころか、朝まで抜かないってのが本当か確かめに来た。と言う理由を建て前に、またあの極彩色の苦瓜を味わいに来たのだが、兄貴分もそれを分かった上で、受けて立ってからというもの、そこから漢同士の遊びが始まった。

兄貴分は黒鋼と遊び始めてから、漢の体で遊ぶのがこんなにも愉しいものだとは思わなかった。何しろ自分の一物を易々と呑み込み、こちらの方が参るほどの具合なのだ、それどころか本来は女郎を折檻する為の責めさえ、嬉々として受け入れ愉しんでいるのだ。
兄貴分はそれを見ている内に、男根を体の中に埋めたり責められるのが、それ程迄に気持ちが好いのかと考える様になると、如何しても試してみたくなり、黒鋼にそれと無く頼んでからと言うもの、入れられたり責められたりするのも愉しくて仕方が無く、それからと言うもの黒鋼と二人、差しつ刺されつ、責めつ責められつつ、する様になったが、暫くするとお互い二人っきりというのも物足りなくなり、弟分達を交ぜる様になった。
最初は一人ずつだったが、その内銭湯でのヤキ入れの時の様に、五人で愉しむ様になった。違う点が有るとすれば、弟分達も兄貴分と同じ様に自分の体を目覚めさせられた事と、弟分達が兄貴分を抱く様になった事だ。
もっともそれは返って、自分達に犯されて尚失わない漢っぷりに、三人がかりで挑んでも余裕を失わないの兄貴分に対して、弟分達が改めて漢惚れし直す事になったのだが。

漢遊びを覚えた兄貴分と黒鋼は、花街であると言う地の利と、仕切り役と言う人の利を使って、花街に遊びに来た男達を狩り始めた。
特に花街に筆下ろしに来た学生や、男達は最高の獲物であった。何しろそれを目的に花街に来ている上に、二人の漢の色気に当てられて、容易く捕まえられた挙げ句、その道の達人に、それも二人がかりで美味しく頂かれるのだ。
しかし不満があるどころか、極上の漢二人に男にしてもらった自信で、意気揚々と帰って行くのだ。
二人にとって花街は既に、最高の猟場になっていた。

「おっ、あれは。」
「何だ、美味そうな獲物でもいたか。」
今日も今日とて日が沈み切り、人工の灯りが彩る花街の中、二人がいつも通り獲物を見定めていると、黒鋼が建物の影に隠れて、何やら言い争う二人の青年を見つけた。
「何でお前がこんな所に来るんだっ。」
「ここに会いたい人が来るんだ。」
「まさか商売女じゃないだろうなっ。」
「そんなんじゃないよ。」
「じゃあ、どんな女なんだ。」
「俺の事は構わないでくれ。」
言い争っている二人の男の内、一人は黒鋼達に背を向けている為に顔は分からないが、もう一人はあの憲兵だった。
交番の一件以降から、憲兵とも関係を続けている。と言っても毎回交番の中で犯る訳にはいかず、こうして憲兵自身から。花街に足繁く通う様になったのだ。最も今は黒鋼だけでなく、兄貴分や弟分達とも一緒に、愉しむ事が出来る様になったのだが。
「おい、あんたら花街でする話じゃないな。」
黒鋼が憲兵達に近付いて声を掛けると、
「あっ、黒鋼さん。」
助かったとばかりに、憲兵が安堵して言うと、
「貴方は誰ですか。」
黒鋼達に背を向けていた青年が振り返り、黒鋼を見渡して名前を尋ねた。
黒鋼もまた名前を尋ねた青年を見定めた。
服装からして将校だろう。歳の頃は憲兵と同じかそれよりも一・二歳ほど年上、年下は先ずあり得ないだろう、背は憲兵よりも頭半分ほど高く、横幅も一回り程大きい程度だが、服の下に隠れた体は職業からして、憲兵よりもガッチリと逞しく鍛えられている筈だ。顔は歳相応か年上に見られるはず。
憲兵の顔を見て、、素直・純情・正直と三拍子揃っているのが見て取れた様に、将校の顔を見れば、真面目・実直・堅物と三拍子揃っているのが見て取れた。
「俺は黒鋼って言う名だ。で、この憲兵さんとは知らぬ仲じゃないんでね。さっきも言ったが、花街の中で大声立てて騒ぐ事じゃないぜ。花街なりの仕来りってもんがあるんだ。あんたが如何思おうが構わないが、そのあたりは守ってもらいてぇな。」
こんな所で騒がれたら迷惑極まりない、と言う態度ありありに言うと、
「貴方には関係無い事です。邪魔しないで下さいっ。」
将校は融通も利かないらしく、少々激昂して反発すると、
「こいつとの関係は何だい。」
黒鋼が将校を無視して、憲兵に尋ねると、
「学生時代からの親友です。俺が花街に来る事が許せないらしくて。」
「へぇー、親友ねぇ。」
黒鋼が少し呆れた様に茶化すと、
「親友として当たり前の事をしているまでです。こんないかがわしい所に、足を運ぶのを止めさせる事の、何がいけないんですかっ。」
「そりゃ、あんたの理屈でこいつの問題じゃない。それに言い合うなら、ここでするなって言っているだけだ。」
黒鋼が至って正論な事を言うと、将校は言い返せないのが悔しいらしく、
「兎に角、こいつをこんな所に置いていく事は出来ません。連れて帰ります。」
逆切れして憲兵の腕を掴むと、強引に引っ張り連れて行こうとすると、
「離してくれ、俺は黒鋼さん達に用があって来たんだ。」
憲兵は将校の手を振り解いて逆らった。
「この男にどんな用があるんだ。」
「それは、その。」
「言えないのか、言えない様な事なら、尚更ここには置いて置けないな。」
将校が再び憲兵の腕を掴もうとすると、
「俺と黒鋼さん達はそう言う仲なんだ。」
「そう言う仲とは。」
「だからそう言う仲だよ。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「男じゃないかっ。」
将校は爆発する様な声で叫んだ。
「だったら何だと言うんだよ。」
憲兵が開き直ると、
「あんたがこいつを誑かしたのか。」
将校は行き成り、黒鋼の胸倉を掴み上げて詰め寄った。
「あーあ、言っちまいやがんの。」
「済みません。つい。」
「いいって、気にすんな。」
胸倉を掴み上げられている事も、自分達の関係も暴露された事も大した事が無いのか、憲兵と普通に話をしていると、
「ふざけてないで、真面目に答えろっ、こいつに人の道を外させて、一体如何責任を取るつもりだ。」
将校は激しく激昂して、更に黒鋼に詰め寄ると、
「だからそれはあんたの理屈で、こいつの問題じゃないって言ってるだろ。」
黒鋼がのらりくらりとまともに相手にしないので、
「・・・・・・・・・・。」
将校は怒りの余り声も出ず、火の様に顔を赤くして、ブルブルと戦慄いていた。
「人間同士の争いは御法度だぜ。」
今まで静観していた兄貴分が、仲裁に入った。
兄貴分は着流した着物の上に、艶やかな色柄の長襦袢を引っ掛けただけと言う、人目でその道の人間だと知れる出で立ちをしていた。
「あんたもこの男の仲間なんだろっ。」
将校は新しく現れた兄貴分に、怒りの矛先を向けた。
「ああ、確かに黒鋼とは深い仲さ、そっちの憲兵さんともね。」
将校を挑発すると、将校が自分に飛び掛る前に、
「それよりもこんな所で騒ぎを起こしちゃ、兄さんの立場が悪くなるじゃないのかい。人間同士の争いは御法度。野次馬が随分と増えちまってる、これじゃあ幾ら俺でも揉み消せねぇぜ。やるなら、余計な邪魔が入らない場所に動こうか。」
兄貴分の言葉に将校が周りを見渡すと、いつの間にかズラリと人垣が出来ていて、何事かとこちらの様子を窺っていた。
物陰で言い争っていたとは言え、あれだけ騒げば人の目を引くのは当たり前。ましてやその中に、本来騒ぎを取り締まるべき憲兵や、将校の服を着た自分達が居るとなれば、兄貴分の言う通りに、立つ瀬が無く問題だ。
「場所を移そうか。ついて来な。」
将校は兄貴分に促されるまま、黒鋼達の後を渋々とついて行った。

将校は仲見世通りの横道を通り抜けた先、通りから少し奥まった場所に在る、三階建ての木造建築、その三階の一室に通された。
将校が畳の上で正座をしながら室内を見渡すと、兄貴分の私室なのだろう、大きく開け放たれた窓からは、遊郭の喧騒が遠く聞こえ、隣部屋に続くふすまの手前に、屏風が立て掛けられているだけで、後は何も無いガランとした部屋だった。
「これでも呑んで、落ち着け。」
将校の前に置かれた空の湯飲み茶碗に、兄貴分が酒を注いで促すと、
「世間話に来たんじゃありませんっ。あいつの事を話す為に来たんです。」
将校は早速、黒鋼達に噛み付いた。
部屋の中には黒鋼と兄貴分と将校の三人が居た。いや、正確には憲兵も居るのだが、将校が憲兵を話し合いの座に着け様とすれば、黒鋼達は将校が落ち着いて話が出来なくなるから駄目だと拒み、そんな事は無い、当事者であるあいつも居るべきだ、と話が進まないので、憲兵には屏風の後ろで話を聞いて貰う事にしたのだ。
「で、先ずは何が問題なんだ。」
黒鋼が仕切り直して改めて聞くと、
「男子たる者、将来伴侶と成るべき女性の為にその純潔を守り、清い体で相手に望む事が道理と言うもの、ましてや許婚でもない者と婚前前に契りを交わすなど、破廉恥極まりなく有っては成らない事です。」
あまりにガチガチの頭の固さに、黒鋼達が呆れ返っていると、
「自然の摂理である男女の契りでさえ守るべき事なのに、ましてや、おっ、男となんて。」
興奮の余りに、将校が声をどもらしていると、
「こりゃぁ、ガチガチに固まった石頭を、話し合いで柔らかくするよりも、体に教え込んだ方がいいな。」
「荒療治の方が手っ取り早いか。せっかっくの美味そうな獲物だしな。」
「先ずは息子を拝ませて貰おうか。」
「そうだな。」
将校の説教を余所に、黒鋼と兄貴分が物騒な話をし終えると、
「うわっ、何をするっ。」
二人がかりであっと言う間に将校の軍服を剥ぎ取り、素っ裸にしてしまった。
「中々美味そうな体じゃないか。」
「息子も立派だしな。」
職業柄、常日頃鍛えているので将校の体は、男臭く逞しく鍛え上げられており、これから熟れていく男の体を知る事が出来た。肝心の息子もやはり憲兵よりも、一回りほど全体的に大きく、ズル剥けていた。しかも将校の性格からして、自慰も満足にしないのだろう、当然童貞である事を差し引いたとしても、頭を全て見せている亀頭の色は、子供の様に綺麗なものだった。
将校の体を両側から押さえ込んで、黒鋼達が検分していると、
「ふざけるなっ、離せっ。」
二人の拘束から逃れ様と、将校が暴れ出したので、兄貴分は自分の帯をシュルリと解くと、その帯紐で将校の右手首と右足首を括り、同じ様に左手首と左足首を括り、自由に動けない様にしてしまった。
「何をするっ、早く解けっ。」
ジタバタと将校が暴れていると、目の前に兄貴分が仁王立ちになり、帯が無くなり脱げ安くなった着物と長襦袢を、バッと一気に脱ぎ落とすと、着物の下には褌一つ身に着けておらず、真っ裸にになった体を見せ付けた。
将校は兄貴分の体から放たれる、威圧感に圧倒されて声も無く見蕩れていると、眼前にある兄貴分の極彩色の苦瓜が、手も触れていないのにグググッと勃ち上がっていった。
「漢の遊びがどんな物か、良ぉく目ぇ見開いて見とけよ。」
黒鋼の言葉にハッとして、将校が黒鋼に目を向けると、兄貴分の体に目を奪われている間に服を脱いだのか、真っ裸の黒鋼が居た。
黒鋼が将校に近付き、体の右側を向けて四つん這いになり、その脚の間に兄貴分が膝立で体を入れると、ペッと片手に唾を吐き自分の一物に塗りたくり、黒鋼の尻孔に向けて同じ様に唾を吐き、尻孔に馴染む様に塗りたくると、そのままズブズブと極彩色の苦瓜を、尻孔の内に沈めていった。
将校は目の前で繰り広がれている、現実離れした光景から目が離せずに居た。兄貴分の尋常有らざる一物が、何の苦も無く黒鋼の尻孔を出入りしているだけでなく、当の黒鋼も苦痛に顔を歪めるどころか悦楽に顔を歪め、手も触れずに勃ち上がっている魔羅からは、我慢汁が垂れ落ちて畳の上を濡らしているのだ。
将校は自分でも気付かぬ内に、黒鋼達に自由にならない体でにじり寄り、兄貴分の体を押し退ける様にして顔を挿むと、激しく出入りしているその部分を、何かに憑り付かれた様にジッと凝視して動かずにいた。
「あっ、何をっ。」
いつの間に屏風の陰から出てきたのか、憲兵は既に全裸になっており、将校の背中から抱き締めると、既に硬く勃ち上がっている息子を右手で抜き、残る左手で胸を弄り、背中を舐め回した。
「おいっ、止せっ。」
憲兵の行為を止めさせる為に体を捻ろうとすると、兄貴分に髪を掴まれて顔を引き上げられると、ビチャビチャと舌を絡めて口を吸われて、動きを止めてしまった。
二人から受ける愛撫に将校が惚けていると、兄貴分の一物を抜き取り黒鋼が立ち上がり、スタスタと屏風に向かって歩き出した。
将校がそれを目で追っていると屏風を畳み、その向こうに隠れていた襖を、スパンッと勢い良く開け放った。
襖の向こうは緋毛氈の大布団が敷かれており、仄かに灯った灯かりが、部屋の中を赤く浮かび上がらせていた。
それを見た将校は、三人の顔を見渡すと、これからあの部屋で行なわれる事を考えて、ゴクリと生唾を飲み込んだ。

「あー、あっ、あっ、あっ、あー、あー、あっ。」
将校は喘いでいた。体の自由を奪っていた帯紐は既に取り除かれ、緋毛氈の布団の上に体を投げ出し、三人がかりで愛撫を受けている。
自らを律して自慰さえ禁じており、どうしても我慢が出来なくなった時だけ、健康管理の一環として息子を扱き、出来るだけ早く生理的な射精を促す事さえ、自分が情けなくなり、二度としないと己を戒めていた。
それなのに今は恥も外聞も無く嬌声を上げ、もっとしてくれとばかりに、自ら体を開いている。それどころか男として感じる所は、男根だけだと信じ切っていたのに、女の様に胸を弄られて口を吸われ、自分でも見た事の無い恥ずかしい所や、何も感じないと思う所でさえ、目の裏に火花が飛び散る程に感じてしまうのだ。
「さぁて、体が程よく温まった所で始めようか。」
そう言うと、黒鋼は仰向けに体を投げ出している将校を跨ぎ、息子を掴むと自分の尻孔に付け、腰を下ろしてズルリと呑み込んだ。
「っーーーーー。」
息子を黒鋼の中に納めただけと言うのに、目の前と頭の中が真っ白になって、焼き切れる程の快感だった。
体を大きく仰け反らせ、口を閉じる事も出来ずに浅く息をしていると、
「入れただけで参るなよ、本当のお愉しみはこれからだろ。」
そう言うや否や、素早く腰を上下しだした。
「―ぁ、―ぁ、―ぁ、―ぁ、―ぁ。」
入れられただけでも堪らないのに、これ以上の快楽があるなんて、思いもしなかった。
もう人の言葉を忘れ、瞬きも出来ず大きく見開いた目から、止めども無く涙を流して痙攣していた。
「悪ぃな、童貞は貰っちまったぜ。」
黒鋼が将校から退くと、次は兄貴分が跨って来た。余りの快感に感覚が焼き切れたのか、自分が達った事さえ分からなかったのだ。
「構わねぇよ、俺は別のを貰うからよ。」
兄貴分が腰を使い出すのを、焦点の合わない目で見るとはなしに見ていると、あの極彩色の苦瓜が大きく揺れだして、直ぐにベタンベタンと餅を付く様に、自分の腹を叩き出した。それは本当の餅つきの様に、我慢汁が粘っこく糸を引き、極彩色の苦瓜の重さが腹の内にまで響き、杵で臼を付く様に極彩色の苦瓜が、将校の精を兄貴分の腹内に突き出した。
将校が半ば失神し掛けている中、兄貴分は将校の尻を真上に向けると小壷を手にし、その中から水飴の様な物を掬い上げると、将校の尻孔の中にまでタップリと塗りたくった。
「今塗ったのは遊郭で秘密裏に扱っている物で、犬の様にさかり、蛇の様に絡み合い、ナメクジの様に滑り合わずにはいられなくなると言う、どんな不感症の玄人でも善がり狂わせる極上の媚薬だ。堅物のあんたにゃ、これくらいしなきゃ、分からないだろうからな。」
効き目は直後に現れた。尻孔が燃えたと思ったら、痒くて痒くて堪らなくなった。
「ああっ、熱いっ、痒いっ、痒いっ、熱いっ、痒いっー。」
体を起こして尻孔を掻き毟ろうとしたら、両側から黒鋼と憲兵に押さえ付けられて、身動きが取れなくなり、疼痛の余り腰を捻っていたら、
「その苦しみ、直ぐ忘れさせてやるよ。」
兄貴分があの極彩色の苦瓜を将校の尻孔に当てると、一気に真下へと突き入れた。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ、痛いっ、裂けるっ、裂けるっ、止めてくれぇぇぇ。」
男としての誇りも無く地獄の苦しみに叫び声を上げると、憎い筈の男達や、今迄泣き顔を見せた事の無い憲兵に、鼻水を流し泣いて助けを求めると、
「なぁに、直ぐに奈落の底から、極楽へ往生できるぜ。」
兄貴分が何の救いにも成らない事を言うと、まるでサァーと潮が引く様に激痛が嘘の様に引くと、今度は津波が押し寄せる様に、あの疼痛が再び襲ってきた。
「ああああああああっ。」
感覚の急激な変化に頭が付いて行かないのか、将校は意味の無い言葉を吐き出した。
将校は早く尻孔の内を掻き毟りたいのに、兄貴分は尻孔の中に根元まで極彩色の苦瓜を埋め、一向に腰を動かさずジッとして微動だしないので、辛抱溜まらず自分から腰を少し動かすと、内の真珠がゴリッと将校の肉壁を擦るのが気持ち好く、少しだけ、もう少しだけ、あともう少しだけと腰を動かして遂には、あからさまに腰を大きく動かしていた。
「あっ、いいっ、いいっ、気持ちいいっ、いいっ・」
将校はもう痒みが取れるのが気持ち好いのか、極彩色の苦瓜が肉壁を擦るのが気持ち好いのか、分からなくなっていた。
「仕込みは十分だな。なら行くぜ。」
兄貴分は将校の脚を自分の腰にしっかりと絡ませると、一物を突っ込んだまま立ち上がり、その場でグルグルと回りだした。
「うあぁぁぁぁぁぁぁっ。」
遠心力で将校の体は水平に持ち上がり、我慢汁を回りに飛び散らしていた。それだけではない、脚の力を抜くと遠心力で飛んで行きそうになり、それを防ぐ為に脚に力を入れて腰に巻き付けば、自ずと肉壁の内の極彩色の苦瓜がゴリゴリと擦り付き、その気持ちの好さに脚の力が抜ける、それを防ぐ為に・・・、その繰り返しを続ける上に、その遠心力で頭に血が上りボォーとなるので、尚更堪らなかった。
「しっかり掴まれよ。ふんっ。」
腰の力だけで将校を撥ね起こすと、将校を自分に抱き付かせた。それは俗に言う駅弁と言う体位だ。
「ああっ、落ちるっ、落ちるっ。」
将校は必死になって兄貴分にしがみ付いた。自らの重みで極彩色の苦瓜に沈み込めば、それに串刺しにされて口まで貫いて来る恐怖に襲われるのだ。だがそれを自分から抜こうとは思えず、こんな酷い仕打ちをする男にしがみ付くしか、方法は無いのだ。
男一人分の重ささえ、ものとしない強靭な腰で、ボールを腰の上で撥ねる様に、一物が抜け落ちる所までに、パンッパンッと将校の尻を撥ね、将校の息子を鍛え上げられ、盛り上がった腹筋に擦り付けさせて、善がり狂わせていた。
「逝くっ、逝くっ、逝くっ、逝くっー。」
「おらっ、極楽に逝っちまいなっ。」
「あー、逝くっー。」
度が過ぎた快楽の為か、将校は自分が何を言っているのか、分からないまま刹那の死を迎えた。

「ううんっ、んっ、んっ、んっ。」
将校は今、仰向けになった黒鋼の尻孔に自分の息子を突き入れ、背中から覆い被る兄貴分に自分の尻孔を極彩色の苦瓜に貫かれ、顔の前に膝立ちになった憲兵の息子を、喜んでしゃぶり回している。そしてもう直ぐ憲兵は口の中に精を放ってくれるだろう。初めて人の精を味わった時は、これこそが正に甘露の味だと思えた。
将校は今、自分の体が自分のもので無く、これから忘我の境地に行く事を予感していた。
この世の中にこんなにも素晴らしい事があったなんて知りもしなかった。
極楽だ。今自分は生きたまま極楽に居る。これこそが極楽だ。もし今目の前に花街に来る前の自分が居たら、莫迦だと言いたい。お前は何も知らないし、知ろうともしない莫迦な子供だと、お前の方が間違っていると、諭したくて堪らない。
自分は無二の親友で有る憲兵を、人の道に正す為に花街に来たはず、それなのにその親友である憲兵を人の道から踏み外せた、張本人である男達に誘われるままに、女を知る前に男を知らされ、童貞を奪われるだけでなく、処女まで奪われてその上それを、憲兵の目の前で晒されたのだ。
二人の男達を恨んでなんかいない、逆に今はどれ程感謝しても尽くせない。彼等のお蔭で本当の意味で憲兵と無二の親友にして貰い、大人の男にして貰えたのだから。
兄貴分の駅弁から短い往生を迎えてから、将校は正に生まれ変わった。
黒鋼や兄貴分に自分から求めた。自分から尻孔を指で開いて求め、自分の息子を握って尻孔を求めた。
それどころか無二の親友だった憲兵にも求めた。いや無二の親友だからこそ自分の内で善がらせたいし、憲兵の内で善がりたいのだ。
親友とは裏を返せば最高の好敵手である。相手を喜ばせたいと言う純粋な好意と、絶対に負けたくないと言う感情が複雑に混ざり合い、更に燃え上がらせる。
将校と憲兵の背中には今、引っ掻き傷が付いている。互いが互いを抱いた時に、余りの好さに思わず背中に爪を立てたのだ。
親友が快感に顔を歪め、達く時の顔を見るだけで自分も達ってしまうのだ。
他にも兄貴分の極彩色の苦瓜を、二人で奪い合う様に舐め合ったり、様々な淫具を使ったり、使われたりもした。誰かの精を鼻の下に塗られたら、その匂いで頭の中がジンッと甘く痺れる。何も入っていない尻孔があれば、その中に息子を入れたくなり、何処にも入れられいない男根を見ると、自分の尻孔に入れるか、しゃぶりたくて堪らなく、自分が混ざっていない性交を見ると、除け者にされた様で悔しいやら、羨ましいやらで直ぐに混じり込むのだ。
そんな四つ巴の組んず解れ図の交ぐわいを、休む事無く朝まで続けられたのだ。

「本当に送っていかなくて大丈夫かい。」
「いえぇ、本当に大丈夫ですからぁ。」
「無理するなよ。」
「でもぉ、帰らないとぉ。」
「そうかい、じゃぁな、気ぃ付けろよ。」
「はいぃ、お二人とも有難う御座いましたぁ。」
「おう、また来いよ。」
「はいぃ、近い内に是非ぃ。」
黒鋼と兄貴分に見送られながら、朝霧に霞む花街の中を、憲兵と将校は夢の中に居る様な、蕩けた目の下にクッキリと隈を作り、お互いを支え合いながらも、フラフラと覚束無い足取りでよろけつつ、家路に向かったのだった。
「お得意様がまた一人増えたな。」
「陰間茶屋でもやるのかい。」
「まさか、商品には手を出さないってのが仕来たりだ。第一それじゃぁ俺が愉しめないだろ。」
「確かにな。銭勘定が無いから、純粋に愉しめる。」
「だろう。」
「じゃぁ俺も、小狼が気付く前に帰るとするわ。」
「ああ、気ぃ付けてな。」
「ああ、またな。」
朝の喧騒が聞こえ始めた街の中、黒鋼もまた家路へと急いだ。

これが小狼の知らない後日談の一つだった。
「どうして黒鋼さんは、そんなに手が早いんですかっ。俺だけじゃ子供で物足りないんですかっ、だから他の男に手を出すんですか。」
嫌な事を思い出して今迄の不満を黒鋼にぶつけると、
「いや物足りなくは無ぇ、それはほら、男の性ってもんだろっ。」
黒鋼がそう嘯くと小狼は顔を真っ赤にして、黒鋼を置いてズンズンと先に歩いていった。
黒鋼の言った事に嘘は無い、事実黒鋼の旺盛な精力を差し引いても、小狼の精力の方が有り余るだけでなく、黒鋼が思いも寄らない性技を施しては翻弄してくれるのだ。
だが男の性と言うのも本当だ、毎日喰っても飽きないとしても、たまには違うものを喰いたくなると言うものだ。そしてそれを知った時の小狼は、嫉妬の為に尚更黒鋼をタップリと責めて来るので、言わば欧州料理のフルコースいや、満漢全席の如く腹が裂けるほどに満腹にして、こちらがもう勘弁と言わす程に満足させてくれるのだ。
それに小狼自身は気付いていないが、最近は黒鋼の名前を無意識に呼び捨てる時があり、黒鋼の内に埋められる小狼の肉茎が、日々成長して行くのを感じる様に、小狼の中の男が育って行く様子を感じて嬉しく思うが、それを自分から教えてやるつもりは無い。小狼がその事を自分で気付くまでは、この貴重な成長過程を、少しでも長く愉しみたくて仕方が無いのだ
今や閨では小狼が黒鋼を翻弄しているが、それ以外の駆け引きは黒鋼がしっかりと手綱を握っており、そのあたり小狼はまだまだ子供だったのだ。
でもそれも小狼が怒り狂う事はあっても、自分から離れて行く事は無いと言う自信があるからこそ出来るのであって、そうでなければこんなにもあからさまに男遊びは出来ないと、黒鋼自身も分かっているのである。

「やっぱりひとっ風呂浴びたいところだな。」
部屋の中に帰り着くなり、黒鋼がぼやくと、
「そんなに入りたいんですか。」
小狼が尋ねると、
「ああ、こう汗でべた付くとな、気持ちが悪くて仕方が無い。」
「ならもう一汗掻けば良いじゃないですか。」
「んっ。」
そう言うや小狼は黒鋼に口付けながら、お互いの服を脱がしていった。
二人とも全裸になると、小狼はクチャリと音を立てて口を離し、
「でも俺も汗を流したいですね。」
小狼が黒鋼の意見に同意すると、
「だろっ。」
黒鋼もその言葉尻に乗ると、
「それじゃぁ、準備しましょうか。」
小狼は黒鋼から離れると、部屋に備え付けてあるクロゼットの中から、大小様々な縄を取り出し、その内の一本を使い黒鋼の腕を後ろ手に縛ると、黒鋼をその場に残してスタスタとベッドに向かい、ドサリッと体を投げ出し、軽く脚を開き両手を頭の後ろに回すと、
「それじゃぁ、綺麗にして下さい。」
寝そべったまま黒鋼に命じると、最初は何の事だか分からなかった黒鋼も、小狼の言わんとしている事が分かり、小狼の足元に近付くと、ペチャリと音を立てて、左足の親指から舌を這わし始めた
「ふふっ。」
小狼は擽ったいのか、気持ちが好いのか、小さな笑い声を漏らした。
黒鋼は左足の指を一本一本、左足裏、左足の甲、左足首、左向う脛、左膝、左太腿と舐めて行くと、股間を跳ばして折り返し、右太腿、右膝、右向う脛、右足首、右足の甲、右足裏、右足の指を一本一本と舐め終わると又も股間を跳ばして、下腹、臍、腹、脇腹、鳩尾、左胸、左乳首、左肩、首の左側、左腋の下、左二の腕、左腕と舐め、頭の下にある左手は抜かして、小狼の髪に顔を埋めて、鼻先で髪を掻き回しながら、小狼の香りを胸の奥にまで吸い込んで楽しむと、左耳と髪際を舐めてから、顔を犬の様にペロペロと舐め回し、時には舌を絡めてじゃれ合うと、次に右耳を舐めて再び、右腕、右二の腕、右腋の下、首の右側、右肩、右胸、右乳首と下りていった。
特に腋の下は好かった。蒸れて汗がジットリとしている為に、他の場所よりも小狼の味がはっきりと分かり、また小狼の体臭が籠って好い匂いなのだ。
「うつ伏せになってくれよ。」
股間を抜かして小狼の体前面を舐め終わったので、小狼に動いてくれる様に頼むと、
「黒鋼さんがうつ伏せにして下さいよ。」
自分からは動こうとせずに、黒鋼を促した。
「ちっ、しょうがねぇな。」
わざと力を抜いている小狼を、腕を縛られた体で何とかうつ伏せにすると、今度は右足の親指から舌を這わせ始めた。
右足の指を一本一本、右足裏、右踵、右脹脛、右膝裏、右太腿、そして股間と同じ様に尻を跳ばして、左太腿、左膝裏、左脹脛、左踵、左足裏、左足の指を一本一本舐めると、腰から背中へと上がって行き、首の後ろを舐め終わると、背骨に沿って行きながら舐め下りて、尻へと舌を這わした。
引き締まりながらも綺麗に盛り上がった小狼の尻丘を左右ずつ舐めると、その奥に隠されている秘所に舌を這わす為に顔を埋めるが、脚を軽く開いているだけなので、黒鋼の鼻が如何しても尻肉に塞がれ、満足に息が出来ないのだが、その為に返って腋の下よりも蒸れて、より小狼の匂いが籠もっているので、軽い窒息感も相まってより黒鋼を悦ばした。
尻孔の中にまで舌を這わし終えると、黒鋼は次に蟻の門渡り、そして肉袋の裏側へと舌を這わせば、
「んっ、ん。」
小狼は小さな声を漏らして悦んだ。
尻周りをタップリと舐め回して楽しんだら、黒鋼は再び自由にならない体で小狼を仰向けにすると、最後に残して置いた股間に顔を伏せて柔らかな草叢に鼻を埋め、小狼の獣欲を誘う甘い体臭を胸一杯に吸い込むと、毛穴から噴き出してくる汗を、一本一本吸い出す様に舐め取り口に含んだ。
新鮮な汗を十分堪能した黒鋼は、テロンと垂れている肉袋に舌を這わすと、内に納まっているコロコロとした金玉を下から上に持ち上げる様に舐め上げたり、片方だけまたは両方を口の内に入れてその滑らかな肉袋の舌触りを愉しんだり、玉を転がしたり玉同士を擦り合わしたりして遊ぶと、ようやく肉茎へと舌を這わした。
小狼の肉茎は萎えてはいないが、少し項垂れてピクンピクンと振れていた。一度勃ち上がると正に名刀の様に硬く天を衝くのだが、今では童貞だった時の様に黒鋼の体に飢え切っている事は無いので、男としての余裕が出来たのだ。
黒鋼が小狼の肉茎をチュルリと呑み込むと、その味や舌触りを愉しみながらゆっくりと舌を絡めた。
口の中で小狼の肉茎がスッカリ勃ち上がると、強く吸い込み続けながらナメクジが這う様にジリジリと根元から亀頭へと上って行き、スポンと音を立てて口から引き抜き鈴口にチュッと口付けると、小狼に不適な笑みを向けた。

天井がミシミシと音を立てている。
理由は天井から吊り下げられている黒鋼の重みの為だ。あの後直ぐに小狼により後ろ手に縛られた腕をそのままに、脚を大きく開かれ限界まで仰け反らされると吊るされたのだ。
それは俗に言う駿河責めと言う縛りで、大の男でさえ泣いて許しを請うという拷問用の縛りである。
部屋の中は白熱電灯の赤みがかった明かりが灯されているが、かつては明かりを取る為に天井から重い燭台を吊るしていたのだろう、いたる所に鉄製の鍵詰めが付けられており、軋んだ音を立てるが黒鋼が吊るされても抜け落ちる様子が無い程の頑丈な造りだった。
「んっ、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ。」
いくら黒鋼でも辛い責めなのか苦痛の声を上げるが、口の奥までしっかりと口枷に塞がれて鼻息でしか苦痛を伝えられないでいる。
そして今駿河責めに新しい責めが加えられた。苦痛の為に萎えている黒鋼の魔羅の根元に、細い麻縄で抜け落ちる程に緩く縛ると、ブラリと重くぶら下がっている肉袋に、電気スタンドの笠の形をした淫具を着け、更に重りとしての分銅を吊るすと、肉袋が抜け落ちんばかりに真下に引き下げられた。
小狼はその分銅に手を掛け揺らし、段々と振り子運動を大きくして黒鋼の腹にぶつかり出すと、今度は円を描く様に水平に成る様に回した。
「んっ、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ。」
肉袋の皮が弓を張る様に伸び切り、中に納まっている金玉がお互いを潰し合う様にゴリゴリと擦り合うと黒鋼を更に苦しめた。
黒鋼が全身から汗を噴き出して油を塗した様になる頃、黒鋼の体に変化が現れ始めた。
終わらない苦痛が快感へと掏り替わり出すと萎えていた魔羅が徐々に勃ち上がり、完全に勃ち上がると抜け落ちる程に緩く縛られた麻縄が、丁度血を止めない程度に魔羅を締めたのだ。
もう数え切れない程肌を重ねている為、小狼には黒鋼の魔羅が勃ち上がった時の太さが手に取るように分かる為、予め麻縄の輪の大きさを太さに合う様にしていたのだ。
「んっ、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ。」
黒鋼が今受けている苦痛を与える為の責めは今、快楽を与える為の責めに変わり、肉体的に辛い体勢と快感の為に全身から滝の様に汗を流し、それは丸焼きにされている牛が肉汁をポタポタと流しているように見えた。
然し本物の牛の丸焼きならば、火の中に落ちた肉汁が焼けて香ばしい匂いが辺りを満たして食欲をそそるのだが、全身が油に塗れた様に濡れている黒鋼の汗は、火に炙られずともその匂いが部屋を満たして小狼の性欲をそそり、目の前のご馳走にペロリと唇をなめるのだった。
「んっーーーーー。」
黒鋼の体がビクンビクン激しく痙攣して墜情したが、魔羅が締められている為に精が塞き止められ、射精をする事無く終わってしまった。
小狼は黒鋼をベッドの上に黒鋼を下ろし、魔羅を締めている麻縄だけはそのままにして、汗に濡れて解き難くなった麻縄を何とか解き終えると、何故かベッドから離れてテーブルの上に置いてある、切り子細工のグラスに酒を注ぐと椅子に腰掛けた。
「如何した、来いよ。」
興奮冷めやらぬ黒鋼が小狼を誘うが、小狼は黙ったまま黒鋼の服を取り上げると、その中からあの尻尾付の肉張り型を取り出して黒鋼に投げ渡すと、
「先ずはそれを使って、俺をその気にさせて下さいよ。話はそれからです。」
小狼はすっかり勃ち上がっている肉茎を隠す事無く、黒鋼に自慰を命じると酒を口に運んだ。
黒鋼は手元に投げ渡された尻尾付の肉張り型に目をやると小狼に顔を向け、フッと笑った。
小狼はこれを使って自分を慰めているところを見せて愉しませろと言うのだ。しかも最近教えた酒を弱いくせに格好付けて呑みながら言うとは生意気な、ならご希望通り自分を慰めているところを見せて愉しませてやろうじゃないか、懲らしめ方も拳骨で殴るだけじゃないって事を教えてやる。
尻尾付の肉張り型に見せ付ける様に舌を這わせて濡らし、それを使って全身を愛撫する様子を長々と繰り返してから、尻孔を小狼に向けると肉張り型を押し当てたがいつもの様に根元まで直ぐに呑み込まずに、先を少しだけ入れては戻し、もう少しだけ入れてはまた戻すと行きつ戻りつして、まるで始めて尻孔を開かれる様にジリジリ進ませて小狼を悩ませた。
黒鋼がやっと肉張り型を根元まで呑み込むと、小狼の視線から決して尻孔が外れない様にしながらも、様々なと体位を何度も変えて魅せた=B
小狼は気付かないだろうが、黒鋼は小狼に今まで取らされた体位を再現しているのだ。
言わば小狼の目の前で、もう一人の見えない小狼に犯されているのを魅せ&tけているのだ。
最初は小狼を懲らしめる為に始めた事だったが、自分の手を小狼の手で肉張り型を小狼の肉茎と思いながら自分を慰めていると、本当に小狼に犯されている様に思え、演技も忘れて感じていると、始めの内はチビリチビリと酒を舐めていた小狼も、次第に酌が早くなり遂には直接ボトルに口を付けて飲み干すと、椅子から立ち上がりフラフラと黒鋼の元に歩いていった。
「ああっ、あっ、あっ、あっ。」
魔羅を締めている麻縄の為に射精が出来ないまま達してベッドに沈み込むと、小狼が無言のままに覆い重なってきた。
「おいっ、もう我慢できないのかよ。」
黒鋼が小狼を茶化して言うが、小狼は無言のままに黒鋼を仰向けにすると、自分は馬乗りになって弄りだした。
小狼は馬乗りになったままジリジリと尻を下げて行き、尻に黒鋼の魔羅が当たるとそれを掴んで膝立ちに成った。
黒鋼がそれをいぶしながら見ていると、小狼は自分の尻孔に黒鋼の魔羅を当てそのまま腰を下ろそうとすると、
「おいっ、何する気だっ。」
黒鋼が慌てて止めようとすると、小狼は久し振りに少年らしい笑顔で黒鋼に笑い掛けると、腰を下ろすのを続けた。
だが幾らあの洋館で尻尾付の肉張り型を入れて道を作られ、先程黒鋼に尻孔を舌で解されていたとしても黒鋼の魔羅は大きく、小狼は額に汗を流し辛そうに眉を寄せながらも、黒鋼の剛直な陰毛が尻孔を擦るまで腰を沈めて、
「俺の童貞と処女を奪ったのは黒鋼さんなんですから、責任は取って貰いますからね。」
小狼は走り込んだ様に汗を噴き出し浅く息を吐きながら黒鋼に言うと、
「取れって、お前が勝手にやってんだろ。」
黒鋼が呆れて言うと、
「取ってもらいますからねっ。」
小狼は笑顔のままに只、ならぬ気迫で攻め寄り、
「今夜は黒鋼さんに処女を奪われたこっちで搾り取って上げますからね。」
黒鋼を根元まで沈めた尻孔をキュッと締めると、息を整えて最初は小さくゆっくりと動かし、慣れて行く度にその動きを大きく速くすると、黒鋼も十分馴染んだと判断して強靭な腰で突き上げだした。
「うをっ。」
余裕が出てきた小狼は、黒鋼の尻に嵌められている肉張り型を右手で抜き差しすると、
「ああっ。」
黒鋼は左手で小狼の肉茎を扱いて反撃した。
互いの開いている片手を握り合い、ベッドが壊れる程にギシギシと悲鳴を上げて激しく動き合うその姿は正に、小狼が黒鋼と言う名の暴れ馬に振り落とされない様に鞍手を握る代わりに、尻孔で魔羅を締めて乗りこなしている様に見えた。
「黒鋼さんっ、俺っ、もう、いきますっ。」
騎手は暴れ馬を乗りこなしながら言うと、
「んっ、俺もっ、いくっ。」
乗り手の声に馬も嘶いて答え、騎手が馬の種付けを邪魔している麻縄に手を掛けて取り去ると同時に、今まで溜め込んでいた子種を噴き出して騎手の内に種付けすれば、その間欠泉の様に噴き上がる熱い子種が腹の中に満ちていくのを感じ、騎手もまた馬に向けて餅の様に粘る精を振り撒くと馬の上に倒れ込んだ。
お互いの体の間で糸を引く精を気にせず、荒い息のまま小狼が黒鋼に口付けると、
「今夜はこっちで抱いてあげますから、黒鋼さんも愉しんで下さい。もし足らなかったらこっちでも抱いてあげますから遠慮しなくて良いですよ。」
小狼は最初にまだ自分の中に嵌まっている黒鋼の魔羅を締め付け、次に黒鋼の内に嵌まっている尻尾付の肉張り型を動かして言うと、
「こいつ言うじゃねぇか。その言葉嘘じゃないか試してやるよっ。」
黒鋼が小狼と体の位置を入れ替えて腰を振り出し、小狼が脚を腰に絡めて両手を尻に伸ばし、肉張り型を動かすのを感じながら黒鋼は、大人の男の顔で遊ぶくせに子供の様な突拍子も無い悪戯をする小狼を可愛く思えた。
小狼の言う通り今夜は小狼の尻孔に搾り取られて魔羅から汁が出なくなれば、次は小狼に尻を突かれて粉さえ出なくなるだろう。
黒鋼がどんなに漢遊びをしても小狼が見捨てられない様に、黒鋼も今では小狼を手放す事が出来ないでいる。
夜はこれからそして今夜は朝まで寝ずに続けるだろう、そんな小狼を逞しく思いながらこれからどんな風に育つのかと思い描きながら、黒鋼は淫らな沼に自ら沈んでいった。

- 終 -